今、ウイグルで行なわれている事。 もはや 『対岸の火事』ではない。
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2010年7月5日 日本ウイグル協会会長イリハム・マハムティ氏を中心に、 在日ウイグル人と日本人支援者が、東京六本木の中国大使館に、 一年前の7月5日に起きた「7・5ウルムチ虐殺事件」に対する抗議文を提出しました。 抗議文については日本ウイグル協会のサイトからお問い合わせください。 皆さんは東トルキスタンと言う国をご存知でしょうか? 国と言っても国連に加盟もしていなければ地図にも書いてありません。 通常は中華人民共和国の、「新疆ウイグル自治区」と呼ばれる地域です。 ここは、シルクロードの舞台として、東西の文明の交わる地点であると同時に、 独自の文化と歴史を持った地域として繁栄してきました。 しかし、18世紀に清朝に征服され、 19世紀には「新しい領土」を意味する「新疆」という名の一つの省として支配されました。 その後、回族の軍閥やソ連軍、新疆政権などによる騒乱を経て、 「東トルキスタン」という名をつけた国が2度誕生しました。 1933年に、宗教指導者の下「東トルキスタンイスラム共和国」が誕生しますが、 約半年という短い期間で終焉を迎えました。 1944年には、テュルク系諸民族が各地で武装蜂起し、「東トルキスタン共和国」が誕生します。 しかし、この国も誕生してから1年少々で、ソ連と中国国民党の間で交わされたヤルタでの密約により、 中国の新疆省政府に合流させられることになりました。 その後、元東トルキスタン共和国政府の指導者達は殺害され、この国は名実共に消滅することとなったのです。 現在は国共内戦を制した中国共産党による占領下に置かれています。 そして中国共産党による激しい弾圧によって、数多くの東トルキスタンの人々の命が奪われてきました。 例えば ・・・ ・「計画生育」と言う名目で数百万の赤ちゃんの強制中絶を行い ・ 45回の核実験と核廃棄物の投棄により、多くの人々が放射能被爆で犠牲になり ・「政治犯」として数万人単位の人々の処刑が執行されている 現在でも東トルキスタンの人々は中国の圧政の下にあり、 9.11テロ(米国同時多発テロ)以降はテロ対策の名目で、政治犯の投獄、処刑がさらに厳しく行われています。 また、大量の漢族の移住と、中国共産党による民族浄化政策のもとに、 独自に培われてきた文化や言語、風習は消し去られようとしています。 東トルキスタンの人々の為に何ができるでしょうか?我々一人の力ではあまりにも無力です。 しかし、この事実を日本を始めとして世界中に広めることによって、中国への抗議、 東トルキスタンへの支援の声を集めることは可能です。 現在、中国は東トルキスタンだけではなく、周辺諸国にも軍事的覇権政策を取っています。 東トルキスタンの人々の苦しみは他人事ではないのです。 日本ウイグル協会代表、イリハム・マハムティ氏(Ilham Mahmut、1969年 - ) の、 切実な訴えを、お聞きください。 ウイグルでは、15歳から25歳の未婚の女性が強制的に自治区の外に連れていかれている。 表向きは「仕事をさせる」と親切な口ぶりで言っているが、 実は政策的に(漢民族との)同化を始めているのではないかと私たちは考えている。 06年から11年までの5年間、毎年8万人、計40万人の女性たちを連れていくという計画だ。 女性は、最初は山東省とか浙江省に連れていき、だんだんと各地に連れ出すことになっている。 また、女性たちが結婚届を出すためには、 少なくとも2年間は他の土地に行って働かないと届け出ができないことになった。 これは(新彊ウイグル自治区内の)カシュガル地区政府が発表したことだ。 少女たちは、連れて行かれると、電話さえ実家にかける事が出来ない。 8時間から12時間の労働をさせられている。 日用品から年頃の女の子に必要なちょっとした化粧品まで、全て、労働舎の内でしか手当てできず、 自動的に日当から差し引かれ、手取り給金は、月600元位になる。 もし、娘をその強制労働に出さないと、党籍を剥奪され、村から追い出される。 何処に行っても、一度そういう履歴が記されると、その人は、一生、浮かばれない事になる。 ウイグルには資源がたくさんある。 ところが逆に、我々には仕事が全くない。 ウイグル人の女性たちが、親切に仕事を紹介するとして拉致されているのはさっき述べた通りだ。 自分の家の前で石油が出ているのに、何千キロも離れた漢民族の土地に行って仕事を探さなければならない。 どんな人が考えてもおかしい。 大学を卒業しても、5%の人しか仕事が見つからない。 逆に、中国の大卒者(漢民族)を、中国政府がカネを出して旅費も支給し、どんどんウイグルに送ってくる。 ウイグルの石油会社の社員は100%漢民族だ。 イスラム教への弾圧はひどい。親として、子供にイスラムの教えを伝えてはいけないとされる。 あちこちで、秘密的にイスラムを教えていたら、警察が連れていき、教えた人は必ず実刑判決を受ける。 モスクの上には看板が掲げられ、「18歳以下と学生は入ってはいけない」「公務員は入ってはいけない」 「年金受給者は入っていけない」…などと書いてある。 断食の月には、わざわざ中国政府がカネを出して昼食を食べさせる。食べなかったら厳しく追及される。 ウイグルで一番大きな大学である新彊大では、2000年にウイグル語の授業が禁止された。 02年にはすべての大学、専門学校にそれが広げられ、ウイグル語の授業はなくなった。 06年からは幼稚園でもウイグル語は追放され、北京語になった。 われわれの民族は、このままでは絶滅する。 すべての世界は民主化という目標に向かっているのに、われわれはこういう状況に置かれている。 中国共産党は、民主主義に挑戦しているのだと思う。 多くの中国人がウイグル自治区に入植し始め、そのため、ウイグル人自身が職を失った。 とても多くのウイグル人が職を失い、若い人たちは、麻薬などに染められていった。 そういった中で、若い人たちが、立ち上がった。平和的なデモを行った。 その、2月15日に、共産党の人民解放軍が(即座に対応)、銃で、215名が、その場で射殺された。 当時、そこには、ビデオはおろかカメラさえ無かったので、証拠となるものは何一つ無かった。 そのため、外に情報として出なかった。 取材記者が5日の虐殺を目撃した住民に、犠牲者がどんなふうに殺されたのか訊ねると、 老人は「残酷すぎて言えない」と絶句した。もちろん政府からの箝口令もある。 中国政府は内陸部においても、報道しなかった。 その後、3ヶ月間、毎日、中共政府によって、強制的に政治学習が行われた。 午前中は仕事、午後は共産党の事を学ばされる。 3600名・・・つまり、デモに直接参加した人や、参加はしなかったがそれをを見ていた人、手当てをした人も、 全て含めて、全員、中国共産党政府は逮捕した。(その数が3600人)。 逮捕された人の一人の看護婦は、6ヶ月後に出てきた時には、妊娠していた。 精神障害を、・・・たった6ヶ月で・・・負い、その看護婦は、刑務所から出て、3日後に、交通事故で死亡した。 ウイグルの南新疆では、毎年、3月から4月下旬まで、2ヶ月間、農夫たちが、タダで働かされている。中国政府の為に。 その期間は、更に、食事も、皆、全て自費で賄わされている。 3月20日から、農作業が始まるのだが、その農繁期にな働き手が全てそのよう強制的な労働提供を強いられるので、 後に残る人たちで自分たちの農作業をやることになる。 4月下旬になって、やっと、働き手たちが戻ってくる。 さて、それで、・・・ 結局、収穫したものを売って、手元に残るのは、年間で、1000元、よくても2000元。 化学肥料も、全て、強制的に中国政府の提供するものを買わされる。それ以外は選べばない。 しかも、中国人たち同士で10元で売られているものを、ウイグル人は、12〜18元で強制的に買わされているのだ。 それで、手元に残るお金は、年間で、1000元がいいところ、どんなによくても、2000元止まり。 先にも述べたように、2000年、ウイグル語は、全て禁止された。 2000年から、ウイグルで教えていた教授、助教授は、全員、6ヶ月間の研修を受ける。 その研修期間に、中国共産党の思想教育と、中国語を学ばされる。 それが出来ないと、職を剥奪され、家に戻される。 代わりに、中国人が入ってくる。 保母たちもそのような教育期間を強制的に受ける。 6ヶ月で完全に中共思想と中国語を完全にマスターできる人は殆どいない。 どんどん保母たちは、中国人に代わる。 幼児に対しても、一日にひとつ中国語を覚えると、1.5元を与える。そういう、強制的な幼児教育を受けている。 そういうことに反発すると、反動・民族主義だ、といって、押さえつけられ、チェックされる。 一度チェックを受けると、一生、上へは行けない。 我々は、ウイグル語を奪われた。 言葉を奪われたということは、国や文化、歴史、全てを失う、という事だ。 王カセンは、あと20年で、ウイグルでは、不安定要因は無くなる、と言っている。 これはどういう意味かというと、つまりは、20年後、ウイグル語も、ウイグル人も、ひとつも無くなる、という事だ。 チベットも、同じ運命になる。 現在、新疆ウイグル自治区における人工比率は、ウイグル人が47%で漢民族は51%、その他の小数民族が2%だ。 例えば、私の故郷のハミ地区では、昔はウイグル人が92〜94%だったが、今は僅か17%になってしまった。 『 1千万人移民受け入れ計画 』 が実行された場合、ウルムチで起こったことは、必ず、日本でも起きる。 今、ウイグルで起きている事は、未来の日本の現実となる。 もはや、『 対岸の火事 』 ではない。 -
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