2011年2月17日15時4分
愛知県の50代の公務員男性は職場でもマスク姿を貫く。きっかけは、同じく新型インフルエンザの流行。「同僚は今もインフルエンザ対策と受け止めていると思います」
妻子は「不審者に見られる」といい顔をしない。しかし、顔に肌着を着けているような安心感があり、着けていないと他人から心まで見透かされているような気分になる。マスクをしていれば、窓口で市民に激高されてもパニックに陥らずに冷静に話せる、という。「ストレス社会にうまくとけ込めない自分がいて、極端な防衛本能が働いているんでしょうね」
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わが子や生徒のだてマスクにどう対応するか、悩んでいる保護者や先生からの声も寄せられた。
「うちの子だけじゃないんだ、とほっとしました」というのは、東京都小平市の自営業女性(45)。高1の長男(16)が2年前からマスクを着けて学校へ通っている。
普段は学校や進路のことなどを話してくれるが、マスクに話題が及ぶと「うるさい」と避けるので、着ける理由も分からない。「電車の乗客の3分の1くらいがマスク姿の大人ということもある。そんな社会の様子を、思春期の子どもたちが無意識にキャッチしてしまうのも一因では」
大阪府の公立中で講師をしている男性(28)は、生徒に年中マスク姿の女子がいたという。だてマスクかどうかの判断が難しく、無理に外させるとトラブルの元になると悩みつつ、「やはり声かけするのが筋ではないか」と語る。
聖学院大学人間福祉学部(埼玉県上尾市)の山田麻有美准教授(心理テスト研究)は「だてマスクには他者の目に対する強い意識を感じる。かつてのガングロや目力メークに通じるものだと思う」。