勉強より食事が不安な韓国の大学生たち

食品価格高騰、十分に食事できない大学生が増加

 ソウル市西大門区新村洞にある延世大学の寄宿舎近くで、社会科学学部1年生のミンさん(20)に会った。ミンさんは「大学の食堂が営業していない日曜日は、コンビニでおにぎりを買って食べる」と話した。また、朝食は抜いて、昼食と夕食は大学の食堂で済ませているチさんにとっても、日曜日はひもじい。

 チさんの場合、自宅からの仕送りは月30万ウォン(約2万2400円)。大学の外にある食堂は高くて到底利用できないが、学生食堂は1食3000ウォン(約224円)ほどで済む。おかずは薄味のチゲ(韓国式のみそ汁)や小魚など、決して種類は多くないが、経済的に苦しいため、ほぼ毎日利用しているという。チさんは「学生食堂ばかり利用しているのはおいしいからではなく、安いから」「大学の外では1食8000ウォン(596円)から9000ウォン(約670円)もするため、友人と会うのも恐い」と語る。

 東国大学教育学部1年生のイムさんは、大学の裏門近くにある月45万ウォン(約3万4000円)の下宿で生活している。イムさんは「肉を使ったおかずはしばらく目にしていない」と話す。下宿で出される朝食は野菜や卵ばかりで、たまにハムが入る程度だ。昼食は大学の食堂しか利用しない。

 大学の近くにある軽食店では、3000ウォンから4000ウォン(約298円)でチキンカツやサムパプ(包みご飯)などが食べられるが、最近は500ウォン(約37円)、1000ウォン(約75円)ずつ値上がりしているため、イムさんもほとんど行かなくなった。夕食は抜くか、サークルの先輩たちが支払ってくれる飲み会で腹を満たす。イムさんは「学校の外にある食堂では安くても5000ウォン(約373円)は必要なため、行くのが恐い。コンビニのおにぎりやサンドイッチで済ませることもある」と話した。

 低所得家庭や地方出身の大学生たちは、最近は授業料や下宿代に加え、食事代も心配のタネだ。大学近くのコンビニエンスストアなどでアルバイトを見つけると、友人からうらやましがられるほどだ。どこの大学でも学生たちは「単位よりも食べていけるかどうかが心配だ」と話している。

 ソウル市竜山区青坡洞で自炊生活をしている淑明女子大学文献情報学科1年のキムさん(20)は「最近は食事を抜いた方が気が楽なときもある。以前はスーパーで卵や牛乳、ハムなどを買って食べることが多かったが、最近は物価が上がって、買い物に行くのも恐い」と語る。3月に新学期が始まると、心配事はさらに膨らみそうだ。最近、多くの大学で食堂の値上げを検討しているからだ。外部の業者が運営している誠心女子大学の食堂は、来週から300ウォン(約22円)ほど値上げする方向で学校側と協議を行う予定だ。漢城大学の学生食堂も、改装工事を終えた時点で値上げに踏み切る予定だ。国民大学の食堂でも、3月からの値上げが決まっており、上げ幅について学校側と協議が行われている。

 ソウル市城北区安岩洞で自炊生活をしている高麗大学生命科学科4年生のキムさん(25)は「野菜や果物も高くて買えない。肉は大学の食堂で炒め物が出たときにしか食べられない。学生たちの生活はみな苦しいが、食堂が値上げすれば、生活がさらに苦しくなりそうだ」と不安げに語った。

李恵云(イ・ヘウン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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