韓国 2011年2月21日(月曜日)
釜山貯蓄銀など6行営業停止:金融当局がメス、動揺広がる[金融]
17日、金融委員会は釜山貯蓄銀行とその系列である大田貯蓄銀行に6カ月間の営業停止措置を下した。さらに18日には同系列の3行と宝海貯蓄銀行も追加で営業停止となり、各店の前には預金の引き出しを求める人で一時騒然となるなど、動揺が広がっている。背景には、金融当局による貯蓄銀行の構造調整があり、その時期や方法に関し当局の責任を問う声も上がっている。
今年に入り営業停止となったのは、先月のサムファ相互貯蓄銀行に続き2例目。今回、営業停止処分を受けたのは釜山貯蓄銀行、大田貯蓄銀行のほかに、釜山貯蓄銀行系列の釜山2、中央釜山、全州貯蓄銀行と、宝海貯蓄銀行の計6行。営業停止処分が報じられた先週、該当銀行の各支店前には預金引き出しを求める人が押し寄せた。
営業停止の理由について金融委は「大田貯蓄銀で昨年末から預金の引き出しが続き、資金流動性が低下した。これにより、預金の引き出し要求に応じられない状況に陥ったため」と説明。一方、釜山貯蓄銀は昨年12月末時点で自己資本が不足するなど経営が悪化。この状態で同系列の大田貯蓄銀が営業停止となれば預金支給が困難となり、預金者の権益や信用に影響を及ぼす可能性が高いと判断した。
系列銀行の営業停止による混乱は大きく、17日の時点では釜山2、中央釜山、全州貯蓄銀はそれぞれ8,000億ウォン(約600億円)、1,000億ウォン、1,300億ウォンの流動性を持っていたものの限界に達し、18日、貯蓄銀行中央会はこのうち2行へ最大3,000億ウォンを支援する方針を固めた。
業界関係者は「釜山貯蓄銀行の営業停止により、系列銀行まで事態が広がるのは防ぎようがない」とする一方で「預金者の間で動揺が広まっているものの、サムファ貯蓄銀行の時ほど影響は広がらないだろう」とみている。
■金融当局によるメスが影響
近年、貯蓄銀行の不動産プロジェクト・ファイナンシング(PF)融資の延滞率が昨年6月末の8.7%から同9月末には24.3%に急上昇するなど、健全性の悪化が問題視されている。これに対し、金融当局が講じた対策の一つが、国際決済銀行(BIS)規制に基づく自己資本比率5%未満の貯蓄銀行名簿の公開だ。経営状況が悪化している貯蓄銀行をえり分けて資金移動を図り、優良貯蓄銀行を生かしたい考えが根底にある。
実際、今回営業停止となった6行とは対照的に、優良とされる貯蓄銀行らはおおむね安定した様子を見せており、当局の思惑通りといった状況だ。17日から大型の優良貯蓄銀行には持続的に預金が入っており、現代スイス貯蓄銀行では17日に200億ウォン、トマト貯蓄銀行では100億ウォンの預金が流入した。当局は近い将来に状況が安定すると見込んでおり、市場安定に向けて肯定的な見解を示している。
■名簿公開で苦難の銀行も
しかし一部の業界関係者は、自己資本比率5%未満として公開された貯蓄銀行のうちの多くは現在、増資や経営計画の立て直しなどですでに構造調整への対応を進めているとし、名簿の公開が時期尚早であると指摘。経営改善の一方で、預金の引き出しを防ぐために定期預金金利を上げざるを得ないなど、苦境に立たされる銀行も少なくない。
また、業界内の資金移動で全体的な問題が生じる可能性も否定できず、当局の方針に懐疑的な見方もあるようだ。
今後、追加営業停止される貯蓄銀行が出た場合には状況が一層悪化する可能性もあり、市場が混乱に陥らないよう、引き続き注視する必要がありそうだ。