ここから本文エリア

現在位置:asahi.comマイタウン愛知> 記事

TOYOTA再発見

【ものづくりの心】

(23)常識覆す横置きライン

2011年02月16日

写真

セントラル自動車の宮城工場=宮城県大衡村

 2009年6月、社長に就いた豊田章男は「原点回帰」を掲げ、不況に強いトヨタ生産方式の立て直しに乗り出した。その一つの事例が、東北の宮城県大衡村にある。
 JR仙台駅から北へ約20キロ。工業団地を貫く真新しい道路を進むと、丘の上に銀色に輝く建物が見える。トヨタの子会社、セントラル自動車(神奈川県相模原市)の宮城工場で、1月に稼働を始めたばかりだ。
 セントラルが工場新設を発表したのは、07年10月。業績が右肩上がりの中で計画は立てられ、投資額は当初、500億円の予定だった。ところが、不況の中で着工した新工場の建設費は、最終的に250億円ほどに半減した。
 秘密は、生産ラインの長さにある。新工場のラインは、従来の3分の1ほど。車を縦1列ではなく、横向きに置いて流すように変えた。車は長さが4、5メートルなのに対し、幅は約2メートル。横向きに並べればラインは短くなる。
 横置きラインにすることで、組み立て時間も短くなる。エンジンや足回り部品、内装品を流れ作業で順番に取り付けていたが、同時に取り付けられるためだ。この車づくりの常識を覆すカイゼンは、トヨタ生産方式の生みの親、大野耐一が得意とした「逆転の発想」といえる。
 セントラルは、新工場の特徴を三つの単語で表現する。コンパクト、フレキシブル、ハーモニー。高効率で生産変動に強く、環境と人にやさしい工場という意味だ。円高が進み、国内生産はコスト競争力を失っている。販売も低迷が続くなか、知恵を絞った東北の新工場は、トヨタの切り札だ。=敬称略

■ご意見、ご感想はtokai-keizai@asahi.comへ。

PR情報
朝日新聞購読のご案内

ここから広告です

広告終わり

マイタウン地域情報

ここから広告です

ここから広告です

広告終わり

ここから広告です

広告終わり

ここから広告です

広告終わり

広告終わり