ライフ【主張】調査捕鯨中止 暴力に屈せず正当性貫け2011.2.20 02:53

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【主張】
調査捕鯨中止 暴力に屈せず正当性貫け

2011.2.20 02:53

 南極海で3月まで実施予定だった今期の調査捕鯨が、反捕鯨団体シー・シェパード(SS)の執拗(しつよう)な妨害行為により打ち切られた。

 SSによる妨害活動は平成17年から続いているが、調査の中止に追い込まれるのは今回が初めてである。調査捕鯨は国際条約に基づく合法的な活動であり、政府は極めて重大な事態と受け止める必要がある。

 しかし、鹿野道彦農林水産相は「乗員、調査船の安全確保の観点からやむを得なかった」との判断を強調しただけで、来期以降の南極海での調査捕鯨継続については明言を避けた。

 これでは、SS側をさらに勢いづかせかねない。調査捕鯨の正当性を貫くためにも、調査続行は明確にしておくべきだ。

 また日本は、SSの無法な暴力行為の実態を重ねて国際社会に強く訴えていくのは当然として、法的にも毅然(きぜん)たる対処ができるよう整備を急がねばなるまい。

 一つの不法行為を許せば、次の不法行為を呼び込む。事実、SS側は今回の調査中止を「大勝利」としており、次の捕鯨シーズンにはさらに抗議船を増やす考えを明らかにしている。

 昨シーズンもSSは、日本船団の監視船に高速船を体当たりさせたほか、大破した高速船のニュージーランド人船長が損害賠償を求めて監視船に侵入する事件を起こしている。拘束された船長は日本へ移送後に刑事訴追されたが、有罪とはいえ執行猶予付きの判決で母国に強制送還された。

 今回の妨害行為は、発光弾や発煙筒を直接、乗組員に向けて投げつけるなど、従来にもまして過激だ。昨年日本で開かれた生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で、生態系保全の世界目標などが採択されたことも彼らには追い風となっているようだ。

 だが、こうした行為は環境保護に名を借りた明らかなテロ行為である。反捕鯨国からも批判の声は強い。国際常識に照らしても、海賊行為として、もっと厳しい処罰を受けてしかるべきものだ。

 日本も一昨年に海賊対処法を成立させたものの、SSについては「海賊とは解釈できない」との慎重論から、適用対象外とされた。政府は、捕鯨の是非を問う以前の問題行動だと国際世論にも働きかけ、こうした法の不備を是正する努力をすべきだろう。

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