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TOYOTA再発見

【ものづくりの心】

(20)特需が残した倉庫群

2011年02月10日

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高岡工場周辺にある物流倉庫。トヨタの子会社が経営している

 カローラをつくる高岡工場(愛知県豊田市)の周辺に5年ほど前、物流会社が農地をつぶし、大きな倉庫を次々と建てた。自動車部品を積んだ大型トラックが倉庫へ頻繁に出入りする。部品を運び込み、保管したのち、車体の組み立て工場へ送っている。
 「倉庫があるのはおかしい」。トヨタOBのコンサルタント、若松義人(73)は数年前、トヨタの首脳に指摘したことがある。若松もまた、大野耐一から指導を受けた一人。関東の部品メーカーから愛知県内の組み立て工場に、ジャスト・イン・タイムで部品を届ける仕組みをつくった経験がある。
 そんな若松の目には、田んぼのなかに林立する倉庫群は「トヨタ生産方式ではありえないことが堂々と行われている」ように映る。倉庫があるということは、在庫というムダを抱えていることになる。倉庫の維持には人、設備、カネがいる。
 トヨタの現役幹部は、若松の指摘に「批判はあと知恵だ」と反論しつつも、倉庫の存在は「いけいけどんどんの雰囲気の中で建てられた。当時は必要だった」と認める。
 倉庫が建ったころ、トヨタの世界販売は毎年約50万台ずつ伸びていた。海外での工場建設が急ピッチで進んだが、間に合わないぶんは日本からの輸出で対応。組み立て工場の敷地内に部品を置く場所がなくなり、倉庫が必要になった。
 ただ、リーマン・ショックで状況は一変した。円高もあり、国内生産は先細り。トヨタは「倉庫のニーズは今後なくなる」(幹部)と現状の見直しを急ぐが、ほころびは倉庫だけにとどまらない。=敬称略

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