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TOYOTA再発見
【ものづくりの心】
(17)世界の「お手本」浸透
2011年02月04日
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車のシートを丁寧に縫製するインド人従業員ら=2010年12月、インド南部のバンガロール |
オックスフォード英語大辞典に1997年、「kaizen(カイゼン)」「kanban(かんばん)」が採用された。「pokayoke(ポカヨケ)」も世界で通じる。
トヨタ生産方式が広く知られるようになったのは、70年代の石油危機がきっかけだ。多くの企業が不景気にあえぐなか、トヨタ自動車工業は大野が築き上げた生産方式を武器に業績を伸ばし続けていた。
80年代には、小型で燃費の良い日本車が米国を席巻。ジャパン・バッシングが巻き起こる。一方、米マサチューセッツ工科大の研究者らは85年、トヨタ生産方式を中心に日本の車づくりを探り始める。90年、研究成果を「リーン生産方式」としてまとめた。「Lean」とは「ぜい肉のない」という意味だ。
豊田喜一郎は戦後すぐ、「アメリカに3年で追いつけ」と社内に号令をかけた。そこから大野耐一が心血を注いで生み出した生産方式は、ついに米国流の大量生産方式を凌駕した。
昨年12月、インド南部のバンガロールを訪れた。地元企業と米部品会社の合弁工場では、トヨタが発売したばかりの新型小型車「エティオス」のシートを生産していた。プリンターから注文伝票が出てきた。隣接するトヨタの組み立て工場からの「かんばん」だ。これが出てくるとシートの製造が始まり、178分でトヨタの組み立てラインに届ける。
工場の技術者たちは1年間、日本で研修を受けていた。インド人従業員は、誇らしそうに言った。「トヨタは我々の先生だ。TPS(トヨタ生産方式)を教えてくれた」=敬称略
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