ここから本文エリア
現在位置:asahi.com> マイタウン> 愛知> 記事
TOYOTA再発見
【ものづくりの心】
(14)「バイブル」の陰に記者
2011年02月01日
|
大野耐一(右)と三戸節雄=1985年、廣瀬郁撮影 |
|
大野著「トヨタ生産方式」 |
トヨタ生産方式の解説本は数多いが、その中でも「バイブル」といえば、大野耐一著「トヨタ生産方式 脱規模の経営をめざして」だろう。1978(昭和53)年5月にダイヤモンド社から発行され、現在107刷。日本では43万8千部を売り、海外でも11カ国・地域で出版されるベストセラーだが、実はゴーストライターがいる。
三戸節雄(76)。経済誌「プレジデント」の記者だった77年夏、ダイヤモンド社の役員からの電話を受けた。「大野のゴーストライターをやってくれ」
三戸はその1年ほど前、大野にも取材し、かんばん方式について記事を書いていたが、出来栄えに納得していなかった。再挑戦しようと依頼を受けた。大野もダイヤモンド社の出版の申し出を快諾した。かんばん方式が下請けイジメの批判を浴び、誤解をときたかった。
三戸は出版社を退社。1週間のうち3日は愛知県豊田市に滞在。週末は東京に戻って執筆する生活が5週間続いた。大野へのインタビューは23回。張富士夫(現会長)らと部品を運ぶトラックに乗り、組み立て工場や部品工場を回った。かんばん方式を体で理解するためだ。
タイトルは当初、「トヨタ生産革命」だった。だが、大野が「革命」を嫌い、「トヨタ生産方式」に落ち着いた。革命はトヨタだけの出来事で終わる。「方式」にしたことで普遍化し、世に受け入れられた。そう三戸は考えている。=敬称略
- PR情報
-
|