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TOYOTA再発見

【ものづくりの心】

(13)両刃の剣 国会で批判

2011年01月29日

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1970年ごろの上郷工場エンジン組み立てライン=トヨタ自動車提供

 トヨタ生産方式がグループ企業や下請けに広まると、批判の的にもなった。
 1977年10月7日の衆院本会議。旧愛知1区選出の田中美智子は「トヨタ方式がいま産業界に広がりつつあり、広範な下請け業者が犠牲にさらされようとしています」と、首相の福田赳夫に対処を求めた。福田は「下請け事業者の利益を損なうことがないよう指導してまいりたい」と答弁。翌年2月の衆院予算委員会では、共産党の不破哲三が問題にした。
 確かにトヨタ生産方式には、使い方によって両刃の剣になりかねない面がある。
 車の組み立てメーカーが、都合よく下請けに部品を「ジャスト・イン・タイムで持ってこい」と発注するとしよう。下請けは、いつどんな注文が来るのか不安なので、つねに色々な部品の在庫を抱える。それでは、かんばんは在庫を下請けに押しつける道具でしかない。
 大野耐一も78年5月発行の著書「トヨタ生産方式 脱規模の経営をめざして」(ダイヤモンド社)で、生半可に導入すると、かんばんは「凶器」に変わると警告している。
 人気の車種だからと、つくり過ぎは禁物。車体メーカーは、車種ごとの販売動向を細かく見極め、生産量の増減を極力抑える「平準化」に努めなければ、下請けの部品メーカーに大きな負担を強いることになる。それでは全体最適の効率的なものづくりとは言えない。
 大野は著書で「下請けイジメにより親企業が業績を上げるというような意図はトヨタ生産方式の考え方と全く相容れない」と反論した。=敬称略

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