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TOYOTA再発見

【ものづくりの心】

(9)逆転の発想「かんばん」

2011年01月25日

写真

部品箱に付けられた「かんばん」=トヨタ自動車提供

 トヨタ生産方式の「かんばん」は横長い紙だ。部品の種類や数量、持ってくる時刻、場所などが、数字や記号で書かれている。部品と一緒に工場内や部品メーカーの間を行き来する。
 ヒントは米国のスーパーマーケットにあった。終戦から10年も経たないころ。考案した大野耐一は米国へ行ったことはなかったが、人づてに聞き、想像を膨らませた。
 色々な商品が棚に並び、客が買うと補充される。客は必要なときに必要なものを必要なだけ買う。これを車づくりに当てはめると、組み立て工場(=客)が、部品工場(=スーパー)に必要な部品を必要なときに必要なだけ取りに行く。組み立て工場に余計な部品を保管する倉庫はいらず、ジャスト・イン・タイムにぴたりと合った。
 それまでの車づくりでは、それぞれの部品工場が、月々の締め切りまでに注文された部品を納入。後の工程の組み立て工場は、すべての部品がそろわないと作業できず、月の前半は暇で、後半に生産が集中した。
 後の工程が前の工程に「部品が必要」と知らせる伝票が、かんばんだ。前の工程は、かんばんがないと、部品をつくってはいけない。部品はかんばんと一緒に納入する。1954(昭和29)年、取締役になった大野は、機械工場でかんばん方式の「原形」を始めた。
 前から後に持って行くのではなく、後が前へ取りに行く。ものづくりの流れが逆になった。逆転の発想こそ、大野の真骨頂。ただ、現場は強く反発した。この新方式を社内に教育して回る役目を、大野は若い社員たちに担わせた。=敬称略

■ご意見、ご感想はtokai-keizai@asahi.comへ。

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