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TOYOTA再発見

【ものづくりの心】

(4)「落ちた時の備え、大事」

2011年01月18日

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中京大の公開講座で林南八の話に聴き入る人々=同大提供

 中京大の公開講座。トヨタ自動車の取締役、林南八は講演の冒頭、トヨタ生産方式が社内で緩んでいたことを、あっさりと認めた。
 師匠であり、この生産方式の生みの親である大野耐一から、耳にたこができるほど聞かされた話があるという。「凧々あがれというが、天まであがった凧はない。必ず落ちてくる。落ちてきた時の備えが大事なんだ」
 トヨタに落ちた時の備えがあったのか。「ついつい大野さんの教えをおろそかにしていた。気がついたら、トヨタはいつのまにか高コスト体質になっていた」
 必要に応じて必要な量をつくる「ジャスト・イン・タイム」は、トヨタ生産方式の根幹だ。しかし、林は「すし屋の方がトヨタよりよっぽどジャスト・イン・タイムなんです」。
 現場で考える「現地現物」の精神にしても「データを見て現場が見えたと錯覚する。だから現場に行かない」。海外の工場を視察した際、担当者から生産ラインの稼働率の平均値を示された。林は不満に思った。
 林「子ども何人おる?」
 担当者「4人です」
 林「平均何歳だ?」
 平均値は参考データにすぎない。異常値にこそ、カイゼンのヒントがある。
 林はトヨタ生産方式が生まれた原点を「貧乏人が考えた苦肉の策」と明かす。資金が乏しい中で外国メーカーに追いつくには、知恵を絞る必要があった。
 では、いまのトヨタの「緩み」をどう直すのか。その答えは示さなかった。=敬称略

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