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TOYOTA再発見

【ものづくりの心】

(3)現場に精通した「神様」

2011年01月15日

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トヨタ自動車取締役の林南八

 トヨタ自動車には、「トヨタ生産方式」をつかさどる取締役がいる。
 林南八(67)。この生産方式を生み出した大野耐一から指導を受けた最後の直弟子だ。兄弟子の張富士夫(73)とともに、トヨタ生産方式を学ぶ企業の担当者の間では、神様のような存在として知られている。
 1966年、武蔵工大を卒業してトヨタに入社。ほぼ一貫して生産現場の改善に取り組んできた。生産調査部長を務めた後、01年に技術職最高位の「技監」に就任。09年、豊田章男が社長になるのと同時に、林は取締役に就いた。
 抜擢したのは豊田だ。何事も現場をみて判断するという創業からの基本精神「現地現物」を、トヨタが忘れていると感じていた。林も「人材が育つスピードを超えて生産が拡大していないか」と、社内で警告を発していた。
 豊田は社長に就任すると、「原点回帰」を掲げた。林の人事には、その方針を社内外に示し、拡大路線の中でほころびが生じたトヨタ生産方式を立て直すねらいがあった。
 林は昨年11月、中京大学の公開講座で講師を務めた。題目は「トヨタ生産方式の本質と進化(深化)」。名古屋キャンパス(名古屋市昭和区)の「431教室」は、約500人の聴衆で埋め尽くされた。学生は少ない。スーツ姿の経営者やサラリーマンが目立つ。
 トヨタがリーマン・ショック後、あれほどの傷を負ったのはなぜか。聴衆の関心はこの一点に集中していた。
 「乾いたタオルをなお絞れと教えてきたが、トヨタのタオルはズブズブでした」。林は語り始めた。=敬称略

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