私の広瀬川インタビュー
トップページ >私の広瀬川インタビュー目次 >私の広瀬川インタビュー(第18回)

日時:平成22年11月12日(金)
場所:イタリアンレストラン「アルフィオーレ」
聞き手:佐藤幸輝(仙台市建設局広瀬川創生室)


第1回
「杜王町」と仙台市との関係は?
2011.2.14
第2回 2011.2.15
第3回 2011.2.16
第4回 2011.2.17
第5回 2011.2.18
第6回 2011.2.19
第7回 2011.2.20
第8回
仙台出身者はいつまでも若い?!
2011.2.21
第9回
荒木先生からのメッセージ
2011.2.22
第10回
こぼれ話
2011.2.23

1.「杜王町」と仙台市との関係は?

聞き手

この「私の広瀬川インタビュー」では、
仙台や広瀬川にゆかりのある著名人に出演いただくことで、
多くの方に広瀬川をはじめとする仙台の魅力を
知っていただきたいと考えています。
今日は、仙台市出身のマンガ家で
「ジョジョの奇妙な冒険」(以下「ジョジョ」)の
作者・荒木飛呂彦さんに出演いただきました。
どうぞよろしくお願いします。

荒木さん

こちらこそ、よろしくお願いします。

  荒木さん

聞き手

早速ですが、先生の作品にはデビュー当時から
仙台に縁のある地名や人名などが数多く登場しており、
私たち仙台市民は大変嬉しく思っています。
特に「ジョジョ」第四部「ダイヤモンドは砕けない」編では、
「杜王町」という日本の架空都市が舞台となっていますが、
実際に仙台にある地名やお店なども登場しており、
ファンの皆さんから、仙台市が「ジョジョ」作品の
「聖地」の一つとも思われているようです。
そこでまずは杜王町と仙台との関連について
教えていただけますか。

荒木さん

仙台は自分が生まれ育った街なので、
なじみ深いというか、描きやすいんですね。
作品上の架空の街とはいえ、
自分の体験を下敷きにして作品に描くことは基本ですし、
何よりリアリティが出るので。

聞き手

第四部の主要人物の一人として登場するマンガ家の
「岸辺露伴」は、読者から先生と
同一視されるむきもあるようですが、
やはり作品でもリアリティを重視していることが窺えます。

  「ジョジョ」第四部 ジャンプコミックス第34巻

<「ジョジョ」第四部 ジャンプコミックス第34巻>

荒木さん

露伴は僕自身ではないですよ(笑)。
ただ、リアリティは欲しいですが、
あいにく第四部では殺人鬼が出てきますので、
仙台をその舞台とするのはさすがにどうかなと思い、
市民の皆さんになるべくご迷惑がかからないように
「杜王町」という架空の街を作らせていただいた、
という次第です。

  「ジョジョ」第四部 ジャンプコミックス第36巻

<「ジョジョ」第四部 ジャンプコミックス第36巻>

聞き手

最近では、仙台市も物騒になりまして、
映画化もされた仙台市在住の作家・伊坂幸太郎さんの
「ゴールデンスランバー」の作中で、
仙台出身の首相が暗殺される時代です。
ちなみに暗殺シーン撮影時には、
エキストラとしてたくさんの市民の皆さんから
協力いただいたので、
今だったらそうしたご心配をされなくても
大丈夫かもしれませんが。

  せんだい旅日和「ゴールデンスランバーロケ地紹介」

(c)せんだい・宮城フィルムコミッション
<参考 「せんだい旅日和『ゴールデンスランバーロケ地紹介』」

荒木さん

連載時(注:第四部の連載は1992年〜1995年)は
S市というのが仙台市で、
杜王町はその郊外の街という設定で、
仙台市そのものが舞台ではなかったんです。

聞き手

近年では、その杜王町も人口が増えて、
S市「杜王区」に昇格したそうですね。

荒木さん

ええ、S市内に取り込まれる形で合併したようです(笑)。

聞き手

杜王町の地形的なモデルとしては、
岩手県の宮古市ではないか、という話がファンの間で
されているそうです。

荒木さん

地理的にイメージしたのは、宮城県の松島の北、
東松島市のあたりです。
ただ、ベッドタウンとしての街のイメージは、
当時開発が進んでいた泉市(注:昭和63年より仙台市泉区)
や宮城野区鶴ヶ谷ニュータウンなどを参考にしていました。

  「ジョジョ」第四部 ジャンプコミックス第29巻

<「ジョジョ」第四部 ジャンプコミックス第29巻>

聞き手

なるほど。
そうした当時のニュータウン開発の様子が
作品に反映されているんですね。

荒木さん

当時は東北学院高校榴ヶ岡校舎に通学していましたが、
毎日のように風景が変わっていくんですよ。
もう道路が急にバーン!とできたりして、
その変化がショッキングでしたね。
そんな体験がいくらかは反映されているかもしれない。

聞き手

先生が仙台にお住いだった頃の仙台は、
日本の経済成長に合わせて街も
大きく姿を変えていく時代の真っ只中だったと思いますが、
その一方で、まだ戦後の面影を残したような
ミステリアスなところがあったと伺いました。

荒木さん

ありましたね。あの、広瀬川には関係ないですけど(笑)、
子供の頃に小松島や与平衛沼のあたりで
よく遊んでいたんです。
そこには防空壕跡みたいな所があって、
住み付いていた方がいました。
その方は、実は浮浪者ではなく、
昔大金持ちで、その財産が隠されているという
埋蔵金の噂があったんですよ。

聞き手

先生ご自身も探しに行かれたのですか?

荒木さん

荒木さん

当然行きましたよ!
まあ、噂話だったと思いますが(笑)、
それが妙なリアリティがあって、子供心に
実際に何かあるのではないかと感じさせられるんです、
本当に。
その方にも知的な雰囲気があって、
英語でしゃべったりして、一体何者なんだ?みたいな(笑)。

聞き手

「ジョジョ」の作中に出てきたりするような…

荒木さん

そうそう。世捨て人だけど、過去に何かあったんだろうな、
という雰囲気があって、埋蔵金の話も、
まんざら噂でもないって思わせられる…

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