＜入館拒否の立て看板設置＞

　ナチュラルグループ本社（以下、NG本社）が１回目の不渡りを出したことで、自然食品・健康食品業界に衝撃が走った。一時は700億円を売上げたともされるメガ企業だけに周辺企業への影響は大きく、２度目の不渡りがいつになるのかとNG本社周辺の空気がざわついている。８日、都内で「れい明会」の総会が開催された際、NG本社の橋本会長が姿を現し事実上の債権者集会となった。

　現在、同社には廊下に入館お断りの看板が立てられている。2月に入ってから急遽設置されていた受付電話も撤去されている。これでは電話が繋がらず、直接同社に訪れた訪問者は完全にシャットアウト。倒産の危機がささやかれるなか、取引を行なっている関係先企業への対応として、いかがなものか。不渡り騒ぎが起きたときに比べると、館内はしんと静まりかえっていた。２つあるうちのもう一方のフロアは電気も消され、人の気配も感じられない様子だ。

＜黙殺されたNG社不安説＞

　NG社をめぐる不安説は何も今に始まったことではない。それまでにも関係者の間では陰ながら不安説が囁かれてはいたものの、公然と口にする関係者はほとんどいなかった。業界専門紙においても、同社が隆盛を誇っていた過去のしがらみに遠慮して実態を取り上げることはしなかった。何より、同社が全国で店舗展開しているアニュー店へ商品を供給する業界卸や製造メーカーの数は多い。一時は300店舗に達したとされるアニュー店と関わりの深い関係各社から大量の広告を受注している専門紙としては、「書きたくとも書けない」（業界紙記者）のが実情だったのだろう（一部専門紙は現在も広告や展示会を受注している）。カリスマとして君臨する創業者・橋本幸雄氏を会長兼社長に戴き、固い結束で結ばれている執行部の下では、「とてもわが社の噂を社内で口にできる雰囲気ではなかった」（元社員）という。この社員は、幹部に知られたらどういう処分にあうかかわからないとして、噂話を同僚と話すことさえ怖くてできなかったと告げている。このように、同社の恥部はブラックボックスの密室に封じ込められたまま黙殺され、いたずらに歳月だけが過ぎ去ってしまっていた。

[COMPANY INFORMATION]
(株)ナチュラルグループ本社
代　表：橋本　幸雄
所在地：東京都品川区東五反田1-11-9
設　立：1973年７月
資本金：４億9,460万円
年　商：（10/３）165億800万円