二本松市の「JAみちのく安達」二本松支店で、2人組の男に現金約1億1000万円が奪われた事件。強盗容疑で逮捕された住所不定、無職、渡辺晃容疑者(30)は約2年前まで同JA本店に勤めていたことが分かり、JA関係者は「非常に残念だ」と落胆した。以前は借金を抱えていたといい、二本松署は現金の行方を捜すとともに、動機を追及している。【蓬田正志、金寿英、長田舞子】
JA関係者によると、晃容疑者は同JAと04年に合併する前のJA本宮に就職した。辞める約1年前まで勤務していたのは、1階に二本松支店が入る建物の2階。交通事故の車の損害を調査する査定課に所属していた。一方、パチンコなどのギャンブルで借金をし、職場にもたびたび金融会社から催促の電話があったため、08年に自主退職した。支店内で脅された支店長ら職員4人には面識がなかったという。
父親によると、昨年9月ごろ、本宮市稲沢の実家を「友人の所に行く」と言って出たまま帰っていなかった。父親は「借金があることも知らなかった。大変申し訳ないことをした」と話した。
同時に逮捕された本宮市白岩、無職、渡辺知幸(ともゆき)容疑者(32)は、晃容疑者とは小、中学校が一緒だったという。自宅近くの主婦は「JAを利用しているので早く逮捕されてほしいと思っていたが、まさか近所の人とは」と話した。別の女性は「こわもての感じだが、会えばあいさつを交わしていたので、信じられない」と話した。
毎日新聞 2011年2月19日 地方版