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【社会】

防火性能不足サッシ 書類だけで“大臣認定”

2011年2月18日 07時01分

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 サッシメーカー最大手トステム(東京)の販売した住宅用防火サッシが、建築基準法の防火性能不足を指摘された問題で、メーカー各社の製品をチェックする立場にあった業界団体「カーテンウォール・防火開口部協会(カ防協)」は、現物による性能試験もせず、書面審査だけで大臣認定品と同等品だとの証明書をサッシメーカーに交付していたことが分かった。ずさんな審査を許してきた国土交通省の責任も問われそうだ。

 カ防協はサッシ七十六社でつくるが、唯一の常勤役員は旧建設省(現国交省)OB。東京都港区の雑居ビルの一室にあり、常勤職員数は役員含め十人。

 問題のトステムの防火サッシ「シンフォニー」は二〇〇三年から販売され、全国約一万棟に施工された。国交省の調査で今年一月、建築基準法で定める二十分間の防火性能を大幅に下回っていたことが発覚した。

 都市部など防火、準防火地域に指定された地域では、類焼を防ぐためサッシにも高い防火性能が求められる。防火サッシでないと、その建物は建築基準法違反となる。

 カ防協は、会員のサッシメーカーを代表する形でアルミ樹脂複合型引き窓の統一規格をつくり、〇二年に「EB−9112」の番号で国交省の大臣認定を取得した。トステムはこの仕様に合わせた製品をつくり、カ防協が性能を証明。自社で認定を取ったのと同じ扱いで販売してきた。

 同じ仕様の三協立山の商品も既に性能不足が判明、改修を迫られる家屋はトステムと合わせて約一万七千棟に上っている。このほかYKK AP、新日軽、不二サッシの三社もこの仕様を採用していることから、国交省は残る三社の商品についても調査するようカ防協に指示する異例の事態となった。

 本紙の取材に、カ防協は、審査は材質などを記した仕様書と断面図などの書面だけで行い、商品の現物は未確認。燃焼実験も実施していなかったことを明らかにした。

 相次ぐ防火性能不足の発覚を受け、カ防協の末永佑己事務局長は「審査が甘かったと認めざるを得ない。再発防止策として燃焼実験も含め商品そのものをチェックすることも検討する」と話した。

 国交省建築指導課は「カ防協の審査を通ったからといって、製造責任はあくまでもメーカー側にあるのではないか」とするが、認定制度をつくったのは同省で、制度が適切に運用されるよう監督するのも同省の責任だ。

(東京新聞)

 

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