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               〜5年以上も連絡がなかったサラ金から、突然、督促状が来た!〜

弁護士の本棚 > 0002 あわてて支払う前に読むべき「消滅時効」の豆知識


  
「若いころ、サラ金から借金をしたが、全額返済したと思っていた。ところが、5年以上も連絡がなかったのに、突然、未払金があるので支払えとの請求書がきた。しかも、多額の遅延損害金が上乗せされている。」「サラ金から逃れるために自宅を離れたが、居場所を隠すため、住民票はそのままにしておいた。かなり年月が経ったので、もう大丈夫と思い、今住んでいるアパートに住民票を移したら、すぐに督促状が来た。どうしたらいいか?」「家を留守にしている間に、10年くらい前にキャッシングをしたサラ金から『債権譲渡』を受けたと称する者が、自宅を訪問していた。すぐに連絡しろとの置手紙を残していたので分かった。怖くてたまらない。」「時効という言葉をよく聞くが、私が請求されているお金も、もしかしたら時効にかかっているのではないか?」

このページでは、弁護士しだらが公設相談所でよく相談を受ける、「サラ金による支払請求権の消滅時効」について、ポイントを解説していきます。

*「サラ金」という用語に厳密な定義はありません。このページでは、特に断りのない限り、登録を受けた正規の貸金業者のうち会社形態をとっているものを指して、そう呼ぶことにします。

                                                                            



 (目次)

 1 はじめに−時効になった債権を請求するサラ金の存在
 2 消滅時効期間−サラ金(会社)の請求権の消滅時効期間は5年
 3 時効の中断−サラ金が裁判を起こしたり、一部でも返済すると消滅時効がストップする。
 4 サラ金の狙い−時効利益の放棄をさせる。
 5 正しい対応方法−時効主張の通知を書面で出す。
 6 弁護士へ依頼することが適当な場合−時効通知をしても請求してくるサラ金がいる!
 7 弁護士しだらの時効通知に関する業務−代理人としてサラ金に消滅時効を通知します。
 8 もし時効にかかっていないと判明した場合は?−弁護士なら交渉による解決や破産申立ての代理も可能


1 はじめに−時効になった債権を請求するサラ金の存在

弁護士しだらが公設相談所で法律相談の担当をしていると、相談者の方が、困惑した表情を浮かべて、サラ金から送られてきた「督促状」をお持ちになることがあります。お話を聞くと、「かなり昔にサラ金からお金を借りたことがあったんだけど、もう返したと思って忘れていた。少なくとも5年以上は何も言ってこなかったのに、突然、請求書が来た。今まで何も言ってこなかったのに、元金だけでなく、何十万円もの遅延損害金を払えと書いてある。どうしたらいいか?」という質問が返ってくる場合が多いのです。このような相談は、生活保護を受給しているなど、低所得の方に多いのが特徴です。
このような相談者の方が請求されている債権は、「消滅時効」といって、もう法律的には支払う義務のない状態になっている場合がかなりあります。しかし、サラ金は、大手、中小を問わず、そのようなことは全く無視して、時効にかかった債権について機械的に督促をしている場合があるようです。公設相談所にやって来るのは、相談所を知ることができたごく一部の方ですので、全体ではかなりの数の時効債権の請求がなされていると思われます。そして、生活保護を受けているような経済的に困窮している方からも、その知識不足に乗じて、どんどんお金を回収しようとしているのです。

2 消滅時効期間−サラ金(会社)の請求権の消滅時効期間は5年

「お金を借りたら返さなければならない。」というのが世間の一般常識ですが、法的には、無期限に返済の義務を負うということにはなっていません。法律で「消滅時効」という制度が設けられていて、一定期間、返済しない状態が続けば、借りた人間の法的な返済義務はなくなるのです。「消滅時効」の制度が設けられている理由はいろいろあるのですが、ここでは深くは立ち入りません。大切なのは、「消滅時効」という制度があるという事実を、まず知ることです。
そして、サラ金が「株式会社や有限会社」などの会社組織の場合、貸金の支払請求権の消滅時効の期間は「5年」と定められています。お金をサラ金(会社)から借りた人は、5年間、返済をしないままの状態が続くと、原則として法的な返済義務はなくなるのです(但し、いくつか条件はあります)(*注1)(*注2)
公設相談所にお見えになる相談者の方に届いている「督促状」も、「会社」であるサラ金からのものであることがほとんどです。ですから、この場合、「督促状」が届いたとしても、返済をしないまま5年間経過していれば、法的な支払義務はないというアドバイスをすることになります。

*注1 厳密には、消滅時効期間である5年の「始期」は何時かという問題があります。法律上は、サラ金が「権利を行使することができるとき」から時効が進行することになっていますので、消滅時効期間は、サラ金と約束した「返済日」から5年ということになります。分割払いの約束になっている場合、「返済日」は複数あることになりますが、「期限の利益」を喪失すれば、その日から請求権の全部について消滅時効が進行します。
*注2 サラ金が個人事業者の場合は、原則として、消滅時効期間は10年になります。

3 時効の中断−サラ金が裁判を起こしたり、一部でも返済すると消滅時効がストップする。

もっとも、「5年間支払いをしないまま」の状態が続いたとしても、消滅時効にはならない場合があります。「時効の中断」と言われる問題です。
典型的なのが「裁判上の請求」がある場合です。「支払いをしないまま」の状態が続くと、サラ金から裁判を起こされることがありますが、この場合時効が中断されます。そして、裁判所から支払いを命じる判決が出され確定すると、その後10年間は権利行使ができることになります。所在が分からない方に対しても、公示送達という方法を使って裁判を起こすことはできますので、あなたが知らないうちに裁判を起こされている場合があります。この点は注意が必要です。
また、「債務の承認」も典型的な時効中断事由です。5年間の時効期間が経過する前に支払の猶予を求める意思表示をしたり、あるいは債務の一部を支払ったりすると、「支払う義務があることを認めた」と評価されて、時効が中断されます。この場合、意思表示をしたり支払いをしたりした時点を始期として、再度、時効期間がスタートすることになります。ゼロからのやり直しです(*注3)

*注3 ほかにも「支払督促」「和解の呼出し」「破産手続参加」「催告」などの時効中断事由があります。

4 サラ金の狙い−時効利益の放棄をさせる。

このように、サラ金の支払請求権は、「返済しないまま」の状態が5年以上続けば、原則として、消滅時効にかかります。上記のようにサラ金が公示送達の手続きを使って確定判決を取得していれば別ですが、サラ金も手間をかけてそこまでやらないのが通常です。
それでは、サラ金は、消滅時効にかかっているはずの請求権をなぜ行使しようとするのでしょうか?それは、消滅時効の制度は、「お金を借りた人間自らが主張(援用)して初めて意味を持つ」からです。請求された人が、特に苦情を言わずに支払いをしてくれさえすれば、消滅時効にかかった権利を主張しても、別にかまわないということになっているのです。
さらに、5年の消滅時効期間を経過した後でも、お金を借りた人が、借金の返済を再開してしまうと、「時効の利益を放棄した」ということになり、後で「消滅時効」の主張ができなくなる場合があります。そこで、サラ金は、まず一部でも支払いをさせようと、暴力的な物言いで「少しでもいいからすぐに払って誠意を見せろ。」などと言って、支払いの実績を作ろうとするのです。何も知らずにあわてて支払いをしてしまうと、取り返しのつかない事態になる危険があることは明らかです。とにかく、一旦支払ってしまうと手遅れになる場合があることは、忘れないでください。

5 正しい対応方法−時効主張の通知を書面で出す。

「借りたものは返すべきである。」という一般的な社会常識に従えば、「お金を借りたのに時効を主張するのは不誠実である。」という考えもあり得るでしょう。また、サラ金の担当者の厳しい口調に閉口して、時効を主張したいけれど、そんなことをしたら何をされるか分からないから、支払いをした方が楽だと思ってしまう場合もあり得るでしょう。
しかし、一旦支払いをしてしまうと、上記のように、時効の利益を放棄したことになり、遅延損害金を含めて全額を完済するまで、サラ金から逃れられなくなってしまう場合があるのです。特に生活保護受給者のような経済的困窮者の場合、公費から支払われる生活維持のためのお金が、サラ金の収入源になることになり、非常に問題が大きいといわざるを得ません。
消滅時効は国が認めた制度ですから、このような場合、消滅時効の主張をすることをためらう必要はありません。直ちに、サラ金に対して消滅時効を文書で通知するべきです。「貴社の権利は消滅時効にかかっており、支払いはできない。」と伝えるのです。この場合、できれば、内容証明郵便で通知を行うのがよいでしょう。なぜなら、内容証明郵便であれば、証拠として残り、もしサラ金が通知を無視して督促を継続した場合、損害賠償(慰謝料)を請求する根拠になるからです。

6 弁護士へ依頼することが適当な場合−時効通知をしても請求してくるサラ金がいる!

ところで、公設相談所に来られる相談者のお話によると、「自分でサラ金に時効通知を出したのだが、それでも何だかんだと言って督促してくる。どうしたらよいか。」ということが時折あり、本人が時効通知をしても請求をしてくる悪質なサラ金がいることが窺われます。このようなことは明らかに不当なのですが、何もしないままでは解決になりません。また、時効通知の文章の書き方や内容証明郵便の出し方がよく分からないという方もいらっしゃいます。
このような場合、弁護士が相談者の方の代理人として、サラ金に時効の通知をすれば、すぐに督促が止まります。弁護士が通知をすれば、「時効の通知をしたのに督促を継続すれば、すぐに損害賠償(慰謝料)の法的手段をとるぞ。」という強力なメッセージになるからです。登録を受けた正規のサラ金で、弁護士が時効通知を出したのに、さらに本人に督促を続けるという業者は皆無といってよいでしょう。
ですから、自分では対応できないとお考えの場合は、弁護士に代理人になってもらい、サラ金に時効通知を送ってもらうのが効果的です。

7 弁護士しだらの時効通知に関する業務−代理人としてサラ金に消滅時効を通知します。

弁護士しだらは、時効債権の督促を受けて困っていらっしゃる方向けに、法律相談を行ったり、依頼を受けて代理人となり、サラ金に対して時効通知の内容証明郵便を発送する業務を行っています。また、現在、この種の事案に限ったメールによる無料相談も行っています。

詳しい要領は次のとおりです。

メールによる無料相談

時効にかかっていると思われるサラ金からの請求にお困りの方からのメールによるご相談に対し、弁護士しだらが無料でメールによる回答をいたします。


 (注意事項)
 *相談内容は、「サラ金からの支払請求の消滅時効」に関するものに限ります。
   なお、時効通知の具体的な書き方のお尋ねや文面添削の依頼は、有料対応との関係がございますので、
  申し訳ございませんが、ご遠慮ください。

 *この無料相談での回答は、原則として、お一人1回です。
 *ご相談の内容によっては、回答できない場合があります。
 *この無料メール相談は、試験的に実施しているもので、予告なく終了する場合があります。


 (お申込み手順)

 @ 弁護士しだら宛てに相談メールをお送りください。

     メールの件名(タイトル)を「消滅時効無料相談希望」とし、
     氏名、住所、サラ金の業者名、相談の内容をお書きのうえ、
     下記アドレス宛てにメールをお送りください



      メールアドレス shidara@lawyers.or.jp


      *サラ金からの督促状等をFAXしていただければ、内容を確認、検討したうえで回答しますので、
       よろしければ、メール送信の際に、FAXもお送りください。

      FAX送信先 → 03−5524−7614 (24時間受付。FAXはコンビニからも送れます。)
 

 A 弁護士しだらから回答メールをご返送します。

     現在、概ね48時間以内(土日祝日を除く。)に回答しています。


面談による法律相談と時効通知の依頼(有料)
・・・弁護士しだらの事務所(東京都中央区)に来所可能な方向け

「メールの無料相談をしてみたが、もう少し詳しいことを聞きたい。」「弁護士に代理人になってもらい、サラ金に時効通知を出してもらいたい。」という方のために、弁護士しだらは、面談による法律相談と時効通知の依頼を有料でお引き受けします。


 (お申込み手順)

 @ 弁護士しだら宛てに法律相談(面談)の予約申込みメールを送り、予約をしてください。

     
      要領は、相談と依頼の方法をご覧ください。


      メールアドレス shidara@lawyers.or.jp

 
  A 予約日時に弁護士しだらの事務所にお越しいただき、法律相談を受けていただきます。

     事務所の地図は→こちら


  B 消滅時効が成立していると判断した場合、弁護士しだらがサラ金に時効通知を発送します。

     なお、法律相談の結果、消滅時効が成立していないと判断される場合、通知は出せません。


  C 弁護士しだらが時効通知到達の事後報告をします。→業務完了


 (かかる費用)

 時効通知の手数料 サラ金1社につき 2万1000円
 内容証明代(実費) サラ金1社につき    1475円

 法律相談料は、時効通知の依頼をされる場合は無料です。
 時効通知の依頼をされない場合は、法律相談料として5250円(30分)を申し受けます。
 
 (費用の例)

 法律相談をし、サラ金1社に弁護士から時効通知を送付した場合
  → 時効通知の手数料2万1000円+内容証明代1475円
     =2万2475円のみ(この場合、法律相談料はかかりません。)


8 もし時効にかかっていないと判明した場合は?−弁護士なら交渉による解決や破産申立ての代理も可能

相談を受けていただいた結果、請求されている権利が消滅時効にかかっていないと判断される場合、または、時効通知を送付したところ、サラ金から反論の資料(確定判決等)が提示された場合は、時効の通知をすることにより問題を解決することはできません。
しかし、このような場合でも、弁護士であれば、相談者の方の代理人として、分割払いや遅延損害金免除の交渉をしたり(任意整理)、負債が多額の場合には地方裁判所に破産の申立てをするなどの方法により、問題を解決できます。
この場合は、別途、契約をすることが必要になりますが、弁護士しだらにご相談くだされば対応可能です。遠方にお住まいの方で、弁護士しだらが直接業務を行うことが困難と判断される場合は、お近くの弁護士による相談所をご案内することもしております。


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