4月12日は宇宙飛行学の日です。今から47年前の1961年4月12日に、ソ連の宇宙飛行士、ユーリー・ガガーリンが人類で初めて宇宙飛行を成し遂げました。ロシアでは毎年、この日には宇宙飛行学と関係ある人、宇宙飛行士や科学者、軍のロケット部隊をお祝いします。特にガガーリンとゆかりのある町や、ロケットの打ち上げ基地のある町では、町を挙げてお祝いします。ロケット部隊のあるペテルブルグでも、毎年この日には何かしら催し物があります。
なかでも、毎年恒例となっているのが、ペトロパヴロフスク要塞で行われるロケットモデルの打ち上げ。これは、宇宙飛行学・ロケット技術博物館と、市青少年会館付属のゲルマン・チトフ(*)名称宇宙飛行学クラブが1988年から催しています。
参加者は、子供から大人まで。今年も50名の参加者が自作のロケットを打ち上げました。打ち上げられたロケットは多種多様で、ほうきに乗った魔女や、クマのプーさん、鉛筆やサッカーボールの形をしたものから、戦闘機や、ガガーリンを乗せて宇宙飛行したヴォストーク号、おなじみ宇宙船ソユーズといった本格的なものまでありました。ロケットの素材は、紙や木材が殆どでしたが、ペットボトルやアルミ缶を使ったものもみられました。一番高く上がったもので、300メートル。パラシュートを開いて帰還するといった本格的なものでした。
ロケットモデルの打ち上げ大会と、会場になっているペテロパヴロフスク要塞にどういう関係があるかといいますと、1920年代後半から1930年代前半にかけて要塞内にはソ連で最初のロケットエンジン開発機関がありました。1973年に、このロケットエンジン研究所があった場所に宇宙飛行学・ロケット技術博物館ができ、今日に至っています。ここでは、ヴォストークやソユーズのエンジン、ルカビシュニコフやサラヴィヨフといったソ連の宇宙飛行士が実際に着た宇宙服などが展示されています。
人類で初めて宇宙へ行ったのがガガーリンなら、女性で初めて宇宙へ行ったのもヴァレンチナ・テレシコワというソ連人でした。今でこそ少なくなりましたが、ソ連では、子供の頃の将来なりたい職業に宇宙飛行士が常に上位にランキングしていました。この博物館は、休日になると子供連れの客でにぎわっています。宇宙飛行学やソ連のロケットに興味のある方は、是非訪れてみてください。
(*)ゲルマン・チトフ:ガガーリンと人類初の宇宙飛行士になるのを競って最終選考に残った人物。結局、チトフは、同年8月に人類第二の宇宙飛行士として宇宙飛行を成し遂げていますが、一番ではないので、あまり有名ではありません。
画像上:ロケット打ち上げ大会の様子
画像下:宇宙飛行学・ロケット技術博物館
【短信】先月ご紹介いたしました2匹のホッキョクグマですが、6月に1匹はモスクワへ、もう1匹は三重県鈴鹿の動物園へ行くことになりました。日本の皆様、宜しくお願いします。(5/1)
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