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明日はある…か?:消費税・考 財政悪化 ばらまき続けた自民・民主(2/2ページ)

 ◇89年消費税導入、97年引き上げ「全体では減税」 選挙大敗、世論に配慮

国と地方の長期債務残高と社会保障給付費の推移
国と地方の長期債務残高と社会保障給付費の推移

 民主党政権は、社会保障費や財政再建の財源として消費税増税を検討しているが、89年の消費税導入時、97年の引き上げ時はいずれも所得税などの減税が組み合わされ、税制改正全体での増税には踏み込まなかった。財政状況がいまほど悪くなく、世論に配慮する余裕があったためだ。

 消費税が初めて衆院選の争点になったのは79年10月で、大平正芳首相(当時)が「一般消費税」導入を掲げて選挙に突入した。大平氏は「蔵相時代に石油危機と減税による税収減で赤字国債を発行したことに責任を感じていた」(野田毅・自民党税制調査会長)とされるが、世論の強い反発で大平首相が投票直前に導入方針を撤回。それでも自民党は過半数を割り込み、国民の消費税アレルギーを強く印象づけた。

 消費税論議に再び挑んだのが、「戦後政治の総決算」を掲げた中曽根康弘元首相だった。87年2月、売上税導入法案を国会に提出。所得税、法人税減税と組み合わせ、直接税中心の税体系を見直す方針を打ち出した。だが、前年の衆参同日選で「投網をかけるような間接税はやらない」と発言していたことから、「公約違反」との批判が集中。4月の統一地方選で自民党は大敗し、法案は廃案に追い込まれた。

 消費税が導入されたのは、竹下登首相時の89年4月。大平氏が「一般消費税」で選挙に敗れてから10年近く経過していたが、世論や野党の反発は強く、税率を当初案の5%から3%に圧縮。所得税・法人税減税も実施し、税制改正全体では1兆円超の減税となった。だが、当時はバブル経済の真っただ中で、消費税導入を決めたときの大蔵省主税局長の水野勝氏は「好景気で税収はいずれ増えることが期待でき、3%でも大丈夫だと思った」と振り返る。

 97年に消費税率が5%に引き上げられた時も、先行実施された所得減税を穴埋めするには至らなかった。

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毎日新聞 2011年2月20日 東京朝刊

 

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