大相撲が八百長問題で揺れる中、幕内高見盛(34)=東関=が19日、東京都渋谷区の小学校で開催された相撲教室に参加した。NPO法人の幼児教育従事者研究開発機構が主催する「父子チャレンジアカデミー」で、素人を相手に真剣勝負。児童の父親らとの相撲教室では、ほとんど手加減なしに豪快な投げ技を連発した。
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向かってくる者には100%で応える。それが高見盛の流儀だ。PTA会長には腰を抱え込んで、プロレス技のパワーボムのような体勢から、脇に投げ飛ばした。別の男性には初代横綱若乃花が得意とした“仏壇返し”で転がした。相撲教室を忘れさせるような全力相撲だった。
興奮冷めやらぬ高見盛は「こういうときだからこそ、あえてガチンコ(真剣勝負の意)を見せた。関取の体を感じてほしかった」と振り返った。相撲協会が八百長問題で揺れに揺れている時期。相撲教室は昨年4月から計画されていたが、学校側は中止も心配していたという。
相撲協会は、イベントへの参加自粛を指導する一方で、社会貢献活動は奨励中だ。相撲教室は相撲に限らず、陸上やラグビーなどさまざまな競技から講師を招き、スポーツを通じて親子のきずなを深めることを目的としている。文部科学省もかかわる事業のため、協会のゴーサインが出たようだ。
お父さんたちをちぎっては投げ、ちぎっては投げ…。対戦相手が次々と土俵に転がっていく様子に、会場からはやりすぎを懸念する声も出た。師匠の東関親方(元幕内潮丸)は「(高見盛は)まじめだから…。そこはガチでいいんじゃないかな」と苦笑いするしかなかった。
東関部屋は、同様の相撲教室の依頼を文科省経由で受けている。今後もできる限り参加する予定で、所属する高砂一門に協力を求めることも考えている。大暴れの高見盛だったが、女性グループ相手には力を抜く優しい一面も。この辺が人気者の秘けつかもしれない。
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