社会
「土足が当然」でも今は…? 神戸の小中学校
上靴に履き替えて校舎に入る児童=神戸市長田区野田町6、駒ケ林小学校(撮影・内田世紀) |
靴はそのまま。教室からグラウンドへ飛び出す子どもたち=神戸市中央区中山手通7、山の手小学校(撮影・辰巳直之) |
教室内も靴のまま入る「土足制」が一般的な神戸市内の小中学校に“異変”が起きている。統廃合による校舎建て替えなどをきっかけに、室内用の靴に履き替える「上靴制」にする学校が相次いで登場。戦前から外国人の多い神戸ならではの“靴文化”が伝統として残ったとみられ、「履き替えると子どもが外に出るのが面倒になる」と敬遠されてきたが、掃除がしやすいなどのメリットがにわかに注目され始めている。(前川茂之)
2002年に同市教育委員会が調べたところ、神戸市立小中学校の全255校のうち、96%にあたる245校が「土足制」を採用。これほど多い地域は全国的にも珍しいといい、同市教委指導課は「外国人が多く暮らす居留地など、ハイカラな町の雰囲気が影響したのでは」と推測する。
ただ、状況はここ数年で変わりつつある。阪神・淡路大震災による校舎の傷みや、少子化に伴う統廃合で、校舎の建て替えが増加。新校舎完成に合わせ、校舎内では靴を履き替える「上靴制」に切り替えるケースが相次いでいる。
08年1月に新校舎が完成した駒ケ林小学校(同市長田区)もその1校。児童が外で遊ばなくなることを懸念していたが、天王寺康裕教頭(54)は「全く取り越し苦労だった」と話す。「土足だと雨の日、廊下がドロドロになったけど、上靴だときれいな校舎を保てる」と効果を実感する。
今年1月に新校舎が完成した夢野の丘小学校(同市兵庫区)は当初、「土足制」のままの予定だったが、土足だと床の汚れが目立つことが分かり、急きょ変更した。
全児童分のげた箱をまとめて置くスペースが確保できなかったため、各教室の前に設置。教室内のみ上靴に履き替え、廊下やベランダは土足という方式を採用した。「きちんと履き替えることは子どものしつけにもなる。『上靴制』が神戸でも主流になるのでは」と田中稔校長(59)。
一方で、土足にこだわり続ける学校もある。
4年前に新校舎となった後も「土足制」を続ける玉津第一小学校(同市西区)の石河直政校長(60)は「土足だと教室からそのまま運動場に出られる。開放感が違う」と指摘する。「上靴制では災害時、混乱なしに外に出ることが難しいのでは」
神戸伝統の土足制か、上靴制への転換か‐。同市教委は「各学校の自由裁量。よく考えて選んでほしい」と話している。
(2011/02/19 14:45)
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