2011年1月18日 20時38分 更新:1月18日 23時26分
東北新幹線などJR東日本管轄の5新幹線で起きた運行トラブルについて、同社は18日、列車ダイヤ修正時の変更箇所数がシステム容量から設定した処理能力を超えたため、と発表した。95年に運行などを一元管理する「COSMOS」(コスモス)を導入して以来、運行本数が約4割増えるなど処理量が増えたが、処理能力の設定は見直されず、ダイヤ担当者は処理量に限度があることを知らされていなかった。同社は「設計上の配慮不足」を認め、陳謝した。
同社によると、17日午前7時ごろ、新白河駅(福島県)で積雪のためポイントが切り替わらなくなるトラブルが起き、東京都内の新幹線運行本部の指令員が、上下24本の列車を最寄り駅で停車するようダイヤの変更を実施した。
この際、コスモスは自動的に5新幹線の17日終日のダイヤを予想し、修正が必要な部分をモニター表示しようとしたが、1分間の修正数が設定上限の600カ所を超えたため表示されなくなった。
同社は、指令員がダイヤ編成に集中できるよう、処理能力に上限があることを知らせていなかった。このため、指令室責任者は原因不明のトラブルと判断し、同8時23分、5新幹線全列車の運行を停止させた。
その後、列車の安全運行にかかわるシステムには支障がないことを確認。指令員がダイヤの修正を進めたため、処理数が設定値より下がり、モニター画面も復旧。同9時38分に全線で運転再開した。
コスモスは08年5月に全面改修され、ダイヤ予測機能を従来の4時間から、列車が車庫に入るまで終日予測できるようにしたが、最大処理能力は増やされなかった。同社は「相当余裕をもった設定と考えていたが結果的に甘くなっていた」と話している。再発防止策として、システムに負担がかからないよう修正手順を見直し、最大処理能力の設定値を上げることも検討する。
一方、15日に小山駅(栃木県小山市)で起きた架線断線や信号トラブルは、架線の摩耗・劣化が原因と発表。隣接架線の高電圧の影響で、切断架線に約1万ボルトの異常電圧がかかり、接続する信号機器が故障した。同社は同種架線約560キロを緊急点検し、1カ所を補修した。【本多健】