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「メディアが報じないパチンコ業界の闇」放送について‐ 木曽 崇

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ネット上で最近注目を集めている「なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか?」を書いた若宮健氏のネット番組。そのタイトルに興味を持って拝見したのですが、偏見に基づいた適当な取材から構成された酷い内容です。



私はカジノ研究者であって、あくまで隣接業種としてのパチンコを一通り勉強したに過ぎないですが、一見して若宮氏が完全に知識不足なのがわかります。私が見ても番組内の発言で明らかに間違いを喋っている箇所がいくつもありますので、おそらく本当のパチンコ専門家の人がこれを見ればもっと沢山間違いが出てくるでしょう。

さて、パチンコのお話はそちらの専門家の方に譲るとして、カジノ専門家として、同氏の主張の中から私がはっきりと間違っていると指摘できる箇所を以下に記します。同氏がその著書の主題としている「なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか?」に関してです。

韓国でメダルチギ(一般的に韓国パチンコと呼ばれる)業界が全廃に至った経緯を理解するためには、政権の変り目には必ず大統領本人および親族の政治スキャンダルが巻き起こり、政権交代後には必ずその政治生命が絶たれる(最悪、生命まで絶たれる)という韓国特有の政治文化を理解する必要があります。

政権交代時にドロドロの政治スキャンダル劇が巻き起こるのは韓国の「お家芸」といっても良い政治文化であり、前・ノムヒョン政権が崩壊したときも例に漏れず大変なスキャンダルが巻き起こました。その発端となったのが「大統領の甥っ子が関与した」とされる韓国メダルチギ機の認可に関連した事件。韓国でメダルチギが全廃されるキッカケとなった、俗に言う「海物語事件」です。

この政治スキャンダルは、ノムヒョン政権時代に急成長した韓国パチンコ産業の各種許認可に大統領ファミリーおよび大物政治家が深く関与し、利権を欲しいままに貪っていたというもの。結果的に当時の韓国政府の文化観光部局長が逮捕されるなど、大きな社会問題にまで発展しました。詳細に関しては、このサイトが上手にまとめているので参照をしてください。

私はこの事件で報道されている内のどこまでが本当かに関しては判りません。前述の通り、政権交代時のドロドロの政治スキャンダル劇は韓国政治のお家芸ですから、報道されている内容のうち幾ばくは真実、そして幾ばくかは反体制キャンペーンのための創作なのかもしれません。

ただ、この背景にあった当時の韓国政治の背景だけは知っています。

この政治スキャンダルを最初に仕掛けたのは韓国の最右派の大手メディアである朝鮮日報であるということ。労働団体出身の極左政権といわれたノムヒョン政権は、当時、事あるごとに韓国の右派メディアと激しく対立しており、同時に厳しいメディアの締め付けを行っていたこと。そして、その朝鮮日報がノムヒョン政権の倒閣運動の一端として、大々的に報じたのが海物語事件であったこと。結果、ノムヒョン政権は倒れ、右派政権である現・イミョンバク政権が誕生したこと。その後、ノムヒョン氏は自殺へと追い込まれてゆくこと。。

これは韓国の普通の人ならば誰しもが知っている事実であり、若宮氏がまともに取材をしているのならばその中でこういった情報が出てこないハズが無いです。

日本でもパチンコを全廃すべきだという極論を主張する方々もいますが、数万、数十万人の労働者がおり、数百、数千万人の利用者が存在する産業が全壊するというのは尋常な事態ではありません。賭博および関連産業でそれが起こったのは、今回ご紹介した韓国のメダルチギの例と、 2006年ロシアのカジノ禁止法などがありますが、両国ともその後、大量の失業者が発生し、禁止したはずの施設が地下に潜って違法賭博化するなど別の社会問題が発生しています。詳細は以下のリンク先をご参照ください。

ロシア:カジノ法制の失敗から学ぶ
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使える経済書100冊特集ページ

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