景気判断:7地域で下方修正…日銀1月地域経済報告

2011年1月17日 20時46分 更新:1月17日 23時53分

全国9地域の景気判断 ※矢印は10年10月から比べた判断の変化
全国9地域の景気判断 ※矢印は10年10月から比べた判断の変化

 日銀は17日、支店長会議を開き、1月の地域経済報告をまとめた。景気の緩やかな回復基調は続いているものの、輸出の伸び悩みや、エコカー補助終了など国の景気対策の打ち切りで生産活動が弱まり、全9地域のうち東北と九州・沖縄を除く7地域で昨年10月の前回報告に比べて景気判断を引き下げた。7地域の下方修正は、リーマン・ショック後の09年4月以来、1年9カ月ぶりで、景気の「足踏み」状態がほぼ全国に広がった。

 新たに景気判断を引き下げたのは、北海道、北陸、近畿、四国の4地域。自動車産業が集積する関東甲信越、東海、中国の3地域は2回連続で判断を下方修正した。自動車の不振に加え、世界的なIT(情報技術)関連製品の在庫調整が影響し、半導体などの輸出が鈍化した。自動車産業は昨年9月にエコカー補助が打ち切られ、生産縮小が続いている。

 これに対し、東北と九州・沖縄は判断を据え置いた。両地域は比較的新しい自動車工場が立地し、稼働率が高かったとみられる。九州は、3月の九州新幹線全線開通に伴い大型商業施設が開店し、設備投資の持ち直し傾向も強まっている。

 一方、雇用・所得環境は、東海を除く8地域が「厳しさの度合いが緩和している」と判断。個人消費も冬物衣料販売の持ち直しなどから6地域で「持ち直し」または「下げ止まりつつある」とした。

 生産活動の先行きも米経済の持ち直し期待などを背景に「1~3月には上向いてくる」(前田純一名古屋支店長)との見方が出され、早川英男大阪支店長は「(景気は)踊り場から遠くないうちに脱却する」との見通しを示した。だが、失業率は依然高止まりし、今春闘も厳しい攻防は必至。薄型テレビなどの需要を引っ張ってきた家電エコポイントも3月に終了する。欧州の財政不安など海外経済も懸念要素があり、日銀の思惑通りに景気が回復するかは予断を許さない。【大久保渉】

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