中国主席:ドル基軸「過去の遺物」

2011年1月17日 11時30分

 【ワシントン斉藤信宏、草野和彦】18日から国賓として米国を訪問する中国の胡錦濤国家主席は、米紙ウォールストリート・ジャーナルとワシントン・ポストの書面インタビューに応じ、08年の金融危機がドルを基軸としてきた現在の国際通貨システムの「欠陥に根ざし」ており「統制の欠如」を示していると指摘。「現行のシステムは過去の遺物」と切り捨てた。国際通貨システムについてはサルコジ仏大統領がドル基軸体制の転換を主張し、「今年の20カ国・地域(G20)首脳会議など国際会議で議論する必要がある」と述べるなど新たな国際通貨制度を模索する動きが広がりつつあり、胡主席の主張は波紋を広げそうだ。

 また、胡主席は米中関係について「相違点や微妙な問題があることは否定しない」と認めたうえで「相互信頼」を構築するための対話促進を訴えた。

 両紙の16日付の電子版が伝えた。

 胡主席は国際通貨システムについて「フェアで公正、包容力があり、よく統制された」システムを提案した。国際基軸通貨としてのドルの役割は評価した上で「米国の金融政策は世界的な流動性や資本移動に大きな影響がある」と指摘し、ドルが「合理的で安定したレベルにとどまるべきだ」と強調。「ドル安誘導策」と批判されている米連邦準備制度理事会(FRB)による追加の量的緩和策に警鐘を鳴らした。

 人民元の切り上げについては、中国国内のインフレが抑制されるとの米国の論理に反論。中国は「価格レベルを統制できる自信も能力もある」としインフレが「為替政策を決定する主な要因になり得ることは、ほとんどない」と述べた。

 人民元は「世界経済の発展で役割を果たしている」と強調したが、国際通貨になるには「相当時間がかかる」との見方を示した。

 米中関係については「良好なら双方が利益を得て、対立すれば失うものがある」と重要性を指摘しながらも、「互いの主権と領土保全、発展の利益を尊重すべきだ」と、米国からの干渉を拒否する論理も展開した。

 昨年、緊張した朝鮮半島情勢については、中国が関係国に働き掛けた結果、「(緊張)緩和の兆しがある」と指摘。6カ国協議再開に向けて関係国が「積極的な措置」を取ることに期待を示した。

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