2011年1月16日 2時33分
地震や台風、豪雪などの自然災害が原因で心身に障害を負った「災害障害者」が、全国で少なくとも363人いることが、毎日新聞の取材で初めて分かった。兵庫県と神戸市が昨年把握した阪神大震災による震災障害者328人以外に、災害障害見舞金の受給や身体障害者手帳申請書類の記載で、35人が新たに災害障害者と判明した。同見舞金の支給要件は労災1級相当と極めて厳しいことなどから、実際にはさらに多くの災害障害者がいるのは確実で、内閣府は来年度から実態把握に乗り出す。
毎日新聞は先月から、各都道府県と厚生労働省に災害弔慰金法に基づく同見舞金の支給実績を聞いた。その結果、受給者は全国で88人(男性46人、女性36人、性別不明6人)で、最年少は0歳、最高齢は96歳だった。阪神大震災(95年)の64人が最多で、雪害や台風などに起因する障害者も全国にいた。同見舞金は両腕や両脚を切断するなど労災1級相当の人しか対象にならない。阪神大震災では支給対象外の震災障害者が多数見つかっており、他の災害でも対象外の災害障害者が相当数に上るとみられる。
また、90年以降の20の地震で重傷者が出た178市町村に対しても調査。身体障害者手帳の申請書類の「疾病・外傷発生年月日」の項目が災害の発生年月日と一致▽障害の原因として「地震」などと記載--の2ケースについて人数の確認を求めた。15日までに157市町村から回答があり、障害等級1級2人(うち1人は同見舞金も受給)▽2級2人▽3級3人▽4級4人▽5級1人の計12人の存在が明らかになった。
しかし、阪神大震災で101人の重傷者が出た大阪府豊中市など13市町が「一般の障害者数が膨大で、申請書類を調査する余裕がない」と回答しなかった。申請書類の記入欄について、「空白だった」との回答も多く、「負傷後に他の自治体に転居したので分からない」「書類の保存年限(5年)を超えており、調査できない」とする自治体もあった。【吉川雄策、川口裕之】