新START:米上院が批准承認、露も同調、発効へ

2010年12月23日 19時4分 更新:12月23日 23時45分

 【アーバイン(米カリフォルニア州南部)草野和彦】米上院が22日、ロシアとの新戦略兵器削減条約(新START)を批准承認したことを受け、ロシア議会も早ければ年内に批准承認し、条約は発効する見通しだ。核戦力拡大を抑制する相互検証の枠組みが構築されることになり、ブッシュ前大統領時代に悪化した米露関係の「リセット(やり直し)」の象徴となる。

 オバマ米大統領は、「核の超大国」の米露に検証の枠組みがない状況を「危険な世界」と呼び、新STARTを外交・安全保障上の最優先課題と位置付けてきた。

 昨年12月の第1次戦略兵器削減条約(START1)の失効後、世界の核兵器の95%を所有する米露間で、相互の核戦力の検証が不可能になっていた。だが、新STARTにより、両国の監視員は年にそれぞれ最大18回、現場で核弾頭数などを検証できる。相手の核戦力を知ることで、自国の核戦力への過剰投資を抑えることにもなり、冷戦時代に「核競争」を招いた疑心暗鬼を低減させることになる。

 だが、新STARTについて、米共和党はミサイル防衛(MD)計画への影響や核戦力低下に対する懸念を表明。このためオバマ政権は、核兵器の性能維持の費用として、今後10年間で850億ドル(約7兆円)を投入することなどを約束し、大統領が目指した年内批准承認が実現した。

 この日の採決では13人の共和党議員を含め71人が賛成し、批准承認に必要な出席議員の3分の2以上を確保した。だが、START1(92年批准)は賛成93人、戦略攻撃兵器削減条約(モスクワ条約、03年批准)は賛成95人で、過去の核軍縮条約ほどの超党派合意は形成できなかった。

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