参院改革:議長案、難航必至 「個人」の扱いなど課題

2010年12月23日 13時12分 更新:12月23日 15時24分

西岡武夫参院議長=国会内で2010年7月30日、藤井太郎撮影
西岡武夫参院議長=国会内で2010年7月30日、藤井太郎撮影

 西岡武夫参院議長が22日、参院の選挙制度を比例9ブロックに再編する改革案を示し、今後「1票の格差」を巡る与野党協議が本格化する。ただ、個人の立候補が難しくなる点や、2大政党を目指す衆院とのバランスも課題だ。各会派で作る選挙制度改革検討会は、来年の通常国会での公職選挙法改正で一致したが、取りまとめは難航しそうだ。【高山祐、岡崎大輔】

 改革案は、参院比例代表が採用する非拘束名簿方式で全員を選出するのが基本。各ブロックに議員12~44人を配分し3年ごとに半数を改選する。重視したのは「違憲状態」との司法判断が出た1票の格差の改善だ。改革案では1.16倍以下となり問題はほぼ解消する。西岡氏は、政府の地方制度調査会が06年に示した全国を9~13の道州に再編する構想を参考に「経済圏や文化の要素があり、あまり分断しない方がいい」と9分割案を採用した。

 各党の損得勘定が絡む問題で具体案の提示に踏み切ったのは、このまま13年の次期参院選を迎えれば「選挙無効」判決が出るとの危機感からだ。ただ、菅直人首相が取りまとめを「年内」と口にした議員定数の削減は見送っており、民主党の輿石東参院議員会長は「国民にうそをついたことになる」と異論を唱えた。同党は全国比例で労組の組織内候補を多く当選させてきた経緯があり、ブロック制への全面移行案では党内調整が難航しそうだ。

 現行比例は名簿届け出政党への所属が立候補の前提。西岡氏は無所属の個人も立候補できる制度を検討しているが、具体案はこれから。また改革案では、一人も議員が選出されない県が出る可能性もあるほか、小選挙区を基本とする衆院との整合性も課題だ。民主党の岡田克也幹事長は「一種の比例制度で小党分立になる。衆院との調整をどうするかも問題だ」と指摘した。

 野党の見解は分かれた。自民党の中曽根弘文参院議員会長は、衆院の比例ブロック数(11)と異なる点を挙げ「同日選となれば非常に混乱する」。社民党の福島瑞穂党首は「全国比例がなくなるのは問題だ」と批判した。

 一方、比例重視の公明党の山口那津男代表は「方向は誤っていない」と語り、新党改革の舛添要一代表は「道州制を前提に進めるなら第一歩として評価する」とした。共産党の穀田恵二国対委員長は「民意を正確に反映する比例代表を守るべきだ」と評価を避けた。

 菅首相は記者団に「1票の格差是正は避けられない課題だ。各党の議論を期待したい」と述べた。

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