2010年12月22日 21時12分 更新:12月23日 0時15分
政府は22日の臨時閣議で、11年度の経済見通しを閣議了解した。国内総生産(GDP)の成長率は実質1.5%、物価変動の影響を加えた名目で1.0%とするほか、消費者物価指数(CPI)の上昇率をゼロとし、デフレからの脱却をうかがう内容となった。ただ、成長率が10年度に比べると半減する中で、物価の下落圧力はなお強いことが予想され、デフレ脱却への道のりはなお険しそうだ。
経済見通しによると、10年度の成長率は実質3.1%、名目1.1%。11年度も2年連続のプラス成長を見込むものの、エコカー補助金や家電エコポイントの終了など政策効果の剥落などで伸び率は大幅に鈍化する見通し。
物価は、11年度のCPIの伸び率をゼロとし、09、10年度と続いたマイナスからの脱却を見込む。政府の新成長戦略は「11年度中には消費者物価上昇率をプラスにする」との目標を掲げている。
ただ、海江田万里経済財政担当相は、CPIのプラス転換について「難しい判断。為替水準などいろんな不確定な要素もある」と、物価下落につながる円高などを踏まえ、慎重な見方を崩していない。民間シンクタンクの多くも11年度はマイナスを予測している。総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは11年度にマイナス0.5%と14年連続で水面下となり、名目成長率が実質を下回る「名実逆転」が11年度も続く見通しだ。
このほか経済見通しでは、完全失業率が4.7%と2年連続で低下。雇用と所得環境の改善などで個人消費は0.6%増、住宅エコポイントの政策効果も加わる住宅投資は5.4%増を見込んだ。企業収益の増加と法人税減税などの効果により設備投資は4.2%増とした。【高橋昌紀】