2010年12月22日 11時24分 更新:12月22日 11時44分
賃貸住宅で自殺した人の遺族が不当に高額な賠償請求を受けているとして、遺族の自助グループ「全国自死遺族連絡会」(田中幸子代表)は22日、遺族保護法制化の要望書を岡崎トミ子内閣府特命担当相(自殺対策担当)に手渡した。連絡会は法案のたたき台を作成中で街頭署名も集め法制化を目指している。
要望書は、自殺への偏見が背景にあると指摘し▽国の自殺対策推進会議に遺族も参加▽自殺が「追い込まれた末の死」だと明確にし、遺族や故人の尊厳を守り、不当請求を禁じる法律の制定--を求めている。田中代表によると、岡崎担当相は「被害の実態をもっと聞き、反映していきたい」と答えたという。
連絡会は不当な請求を、遺族の悲しみに追い打ちをかける2次被害と位置づけ「自死遺族の二次被害相談センター」(明英彦代表)を21日設立。電話兼ファクス(022・717・5066)で相談に乗り、この問題に詳しい弁護士を紹介する。参考になる被害事例や裁判例をサイト(http://nizihigai.web.fc2.com/)に掲載予定。田中代表は「すぐに支払わず、まず相談してほしい」と呼びかける。
賃貸住宅での自殺は告知義務があり、次の入居者が決まりづらいため、家主が遺族に賠償を求めることが多い。実害のない部分の修理費や「おはらい料」などの名目で計約1000万円の請求を受けた遺族もいる。【百武信幸】