与謝野馨経済財政担当相が主宰する首相官邸の社会保障改革集中検討会議(議長・菅直人首相)が、4月の改革案づくりへ向け、経済団体や新聞社などから意見の聞き取りを始める。年金の制度改革を中心に、各政党からも考えを聞く意向だ。
年金改革は保険料や消費税率の引き上げと表裏の関係にある。大切なのは医療、介護や子育て支援に充てる公的な費用を含め、若い世代が保険料と税を無理なく払える水準に抑えることだ。累増する国の借金を返す財源の確保という課題もある。
官邸の検討会議の議論はこうした論点への意識が低い。菅首相は年金、医療、介護にかかる政府の負担を賄うために消費税増税が必要だと繰り返している。高齢人口の一段の増大を考えれば、国民負担の引き上げは避けられないが、将来世代の保険料と税を過重にしない責任がわれわれの世代には課せられている。給付水準をある程度、抑えることを前提にした改革を追求すべきだ。
年金制度の持続性を高めるには(1)保険料の未納問題を解決し、無年金者の予備軍を減らす(2)現役時に払う保険料の総計に対し、死ぬまでにもらう年金総額の倍率が高齢世代ほど高い世代間の格差を和らげる――の2点について解を示す必要がある。
日本経済新聞社は2008年に2度、年金制度改革研究会の報告として紙上で次のような案を示した。
未納の解消は基礎年金の財源をすべて消費税に置き換えればできる。高齢世代を含め、各人の消費活動に応じて等しく払う消費税は高齢期の生活の基礎を賄う年金の財源に適している。給付水準は物価に完全に連動させて実質価値を保つ。専業主婦が保険料を払わなくても基礎年金をもらう矛盾も解消される。
世代間格差の緩和では、厚生年金の報酬比例部分の一部を積み立て型の年金に設計し直すよう提案した。その財源は基礎年金の消費税方式への移行で浮く企業の保険料を充てる。現行の報酬比例部分の給付水準を減らす必要性にも触れた。
これらの改革で、税率に換算すると将来は6.5%程度の消費税増税が必要になると試算した。
研究会報告にはないが、高収入の高齢者は年金を払い戻す制度を取り入れれば、増税幅は圧縮できる。
官邸の検討会議が聞き取りを続ける間、一方で厚生労働省があるべき制度像をつくる。省内には、この作業を「(納税者への)請求書づくり」と呼んではばからない官僚がいる。増税ありきを前提にしているようにみえる菅首相の罪ではないか。
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