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天を衝く 高層都市東京

住民参加で手作り 木製「汐入タワー」

2011年02月18日

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隅田川の対岸に東京スカイツリーを望み、木造の塔の建設が進む=荒川区南千住8丁目、林正樹撮影

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美術家の川俣正さん(左から2人目)=荒川区南千住8丁目、林正樹撮影

◆美術家や学生が制作 荒川であすイベント

 建設中の東京スカイツリーを望む荒川区の都立汐入公園で、パリ在住の美術家川俣正さん(57)や建築士、大学生たちが木製の塔「汐入タワー」を制作している。塔を造る過程から、ツリーに象徴される東京の変化を実感しようとする試みで、19日には子どもたちと上棟イベントを開催。住民にも作品づくりに参加してもらいながら、3月下旬の完成を目指している。

 「展望台に上ると、360度ぐるりと見渡せます」。散歩中の住民が塔の前で立ち止まると、作業着姿の若者が駆け寄って丁寧に説明。住民はうんうん、とうなずいた。

 汐入タワーは都などの「東京文化発信プロジェクト」の一環。コンクリートで土台を造り、柱を組み立て中だ。高さ約11メートルの円柱形の塔で、らせん状の緩やかなスロープから高さ8メートルの展望台に上ると、隅田川の向こう岸にそびえ立つツリーを眺められる。

 川俣さんはパリ国立高等芸術学院教授で、フランスやドイツでも木の塔を手掛ける著名なアーティスト。パリを拠点に活動する川俣さんの意図を理解し、制作を支えているのが青森市で建築業を営む日沼智之さん(45)だ。

 東京や青森で長年、住宅などの建設に携わってきた。8年ほど前から、国際芸術センター青森などでアート制作に携わるようになり、これまでに関わった展示は300以上。それが縁で川俣さんに汐入タワーの制作を任された。「見学者がいたら、作業の手を休めてでも説明して」と作業員らに伝え、「親しみのある塔」を目指している。

 制作には大学生ら数人がボランティアで参加している。卒論を提出後、参加した首都大東京システムデザイン学部の松宮早紀さん(23)は手があか切れだらけ。「でも地域の人たちが喜んでくれているようで充実感はある」。初めはまっすぐ切れなかったのこぎりの扱いも上達した。

 地域住民や子どもたちも「制作者」だ。塔の周りのデッキの土台となる土嚢(ど・のう)を40袋作った小学生の女子グループもいた。関連イベントで昨秋、約百人の子どもが作った小さな「手のひらの塔」は塔内に飾る予定だ。

  19日午前10時の上棟イベントでは、参加者たちが願い事を書いた短冊を飾り付ける。もちまきもあり、地元の父親の会や婦人部が作った餅やおしるこも振る舞う予定だ。

 都など主催者側は土日に制作に関わるボランティアを募集している。問い合わせは事務局(090・6149・0399)へ。
(黒川和久)

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