<ミュージックバードシリーズ7>トーク番組実例2「トランスワールドミュージックウェイズ」2008年06月12日 08時58分35秒

<ミュージックバードシリーズ7>トーク番組実例2「トランスワールドミュージックウェイズ」

現在ミュージックバードで放送されている「トーク系番組=私が毎週録音して聴いている番組」についての続き

●日曜 10:00-11:00 トランスワールドミュージックウェイズ 出演:田中美登里<cross culture>

この番組は、もう何年やっているのだろう。ミュージックバードが始まってからずっとだが、その前にもFM東京でずっとやっていた。更にその前身番組が確か「民族音楽をあなたに」という番組だったと思うが、それも計算したら数十年レベルではないか。

私は長年のハードエアーチェッカーなのだが、何十年もそんなことをやっていれば、録る番組はイヤでもしょっちゅう変わる。大体番組自体が始まったり終ったり忙しいし、こちらの好みも変わらないようで、大きく動いていく。

だがこの番組だけ例外だ。ともかくトランスワールドが始まってからは、例の「番組表で内容未定」
http://yohirai.asablo.jp/blog/2008/05/15/
というとき以外は全回録音して聞いている。

実はしょっちゅう変わる私の生活のなかでもう1つだけ変わらない習慣として「寝る前にお笑い番組の録画を見る」というのがあるのだが、こちらでも何十年も変わらない番組は「タモリ倶楽部」だけだ。(爆笑問題の太田さんも歴史上全番組の中でこれがトップと言っておられたことがある)

「タモリ倶楽部」はともかくとして、「トランスワールド」のほうは聞き流したことは一度も無く、ほとんど車の中で、まあちゃんと聴き続けている。私は自慢できることなぞ1つもないが、これだけは表彰でもしてもらいたい、と思っている。

私は表彰してもらっていないが、「トランスワールド」の番組のほうは、確か「ギャラクシー大賞」とか「民放連賞優秀賞」とか受賞しているはずだ。受賞記念の小さなレストランで行われたパーティーには行った様な記憶もある。

この番組は民放放送FM東京時代もコマーシャルが無かった。突然NHKのように「トランスワールドミュージックウェイズ 田中美登里です。」と始まる。これはファンとしては心配の種で「いくら深夜番組でもずっとスポンサー無しでは、すぐに消えるのではないか」と思い続けていた。毎年4月に放送が続くと心底ホッとしたものだ。

番組が無くなりそうな時に賞を受賞したりは、継続のために多少のプラスにはなるかもしれない。金にならなければ栄誉だけでも、ということだ。

この番組は、パーソナリティーの田中美登里さんは固定されて、文字通り多くのジャンルからゲストが出演して、トークをし、関係した音楽もかかる番組。クラシックの方も出るが、もっとニッチな民族音楽、フリーミュージックなどの方が多い。

それらの出演者の方で、「マスコミに出たことは生涯でトランスワールドだけ」という方も多かろう。それらの方々へのまなざしが田中美登里さんそのものだ。彼女は東京芸大楽理科出身で確かに、このあたりの出身者は民族音楽に興味のある人が多い。

だが田中美登里さんが目をつける人たちはその中でも埋もれがちな人たちが多い。ジャーナリストとしては人と違うことをやったり探し出してくるのは当たり前のことだが、民放局音楽番組で実際にそういうことがやり続けられている、これはほとんど唯一の例だろう。

山下達郎さんが今ラジオというもののキャンペーンか何かで「私はラジオを聴いてなかったらミュージシャンになっていません。ラジオというのは音楽文化には必須のものなのです。」といった意のことを言っておられるが、トランスワールドこそ「文化的な番組」の最たるものだ。

最近この番組に作曲家ピアニストの高橋悠治さんが登場した。田中美登里さんは、何十年のキャリアの中でも珍しく上がって緊張し、おろおろしているようにさえ聴こえた。よほど尊敬しているのだろう。

高橋悠治さんも同じくクラシック出身でそこからはずれて、だが完全に離れることはせず、何とか折り合ってやってきた。美登里さんからみれば同系の本物ということだろうか。ともかくこの回も日本の民間放送の中で、「細々と文化が生きている」のを感じた例だった。

現在の民間放送の世界でこういう番組を続けていくのは至難の技、茨の道そのものだろう。どんな番組でも終わりは来るが、ともかくその日が少しでも遠い日でありますように。

コメント

_ 清夏 ― 2008年06月12日 15時46分44秒

学生のころ深夜放送を聞いた覚えはあるが,今はラジオはほとんど聞かない。「ながら」ができない性分ということもあるが,DJの騒々しさと俗っぽさに辟易している。それでも電気店にはおしゃれなデザインの製品が並んでいるし,健在なのだと驚いた。ラジオで良質な長寿番組が「格上げ」されることはあるのだろうか。

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