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各政党 擁立へ活発化 「草の根」候補は続々 「相乗り」模索も '11/1/27

 広島市長選(4月10日投開票)は、3月27日の告示まであと2カ月となった。4選に挑むとみられていた秋葉忠利市長が4日に今期限りでの退任を表明した後、「草の根」での支持拡大を目指し、名乗りを上げる立候補予定者が相次ぐ。政党は活発な動きを続けるが、民主、自民の与野党第1党は擁立に至っていない。実質的な「相乗り」を模索する動きも出始めた。(広島市長選取材班)

 市長選に向けては26日までに、無所属新人5人が立候補の考えを表明した。いずれも政党と連携した動きではなく、市民レベルで支持を広げる構えだ。一方、政党は民主、自民の両党を中心にそれぞれ擁立作業を活発化させている。

 「東京での候補者擁立は、はかどっていないようだ」。自民党広島県連幹部は26日、渋い表情で口を開いた。県選出の国会議員が、地元ゆかりの複数の官僚に打診しているが、前向きな返事は得られていないとみられる。

 自民党県連の選挙対策委員会は、2月上旬までの候補者選定を目指す一方で、政党の枠組みにこだわらない支援態勢づくりを進める方針も確認している。

 「自民党だけでなく、連合広島も乗れるような環境を整える必要がある」。党県連幹部は、「地域の結束」を掲げた選挙戦を視野に入れる。民主党の最大支援団体である連合広島との共同歩調も想定し、「盤石の支援態勢」で候補擁立を進める必要性を強調する。

 その連合広島の支援を受ける与党の民主党県連。前回市長選で「実質支援」した秋葉市長の立候補を既定路線としてきただけに「主戦論」は当初、影を潜めた。だが、事態が動く。

 秋葉市長の退任表明から約2週間後。民主党県連の三谷光男代表(衆院広島5区)が急きょ、市幹部と面会した。立候補要請を前提に約2時間にわたり意見交換し、「返答待ち」になった。

 この市幹部には、実質的な「相乗り」を念頭に自民党県連の関係者も関心を示した。ただ、秋葉市政を支えてきた市幹部の擁立に自民党系市議の一部から反発が出た。結局、市幹部から三谷氏に「断り」の連絡が入り、民主党主導の候補者選びは振り出しに戻った。

 政党では、みんなの党県広域第1支部が25日、党本部に推薦申請する候補者を内定した。党本部が決定後、発表する予定だ。昨夏の参院選での躍進の再現を狙い、民主党でも自民党でもない「第三極」を前面に出す。

 共産党県委員会は連携する市民団体と擁立を目指し、選考作業を進めている。公明党県本部、社民党県連合、国民新党は、それぞれ独自候補を擁立しない方針を決定した。

<広島市長選への各党の対応>
民主党連合広島と緊密に連携し、候補擁立を目指す
自民党官僚を中心に候補人選中。2月上旬擁立が目標
公明党独自候補立てず。他党の動向注視
共産党連携する市民団体と候補擁立目指す
社民党独自候補立てず。連合広島と協力する
みんなの党党本部への推薦候補を内定
国民新党独自候補立てず

 ▽広島市長選 田中氏立候補へ

 任期満了に伴う4月10日投開票の広島市長選に、建築コンサルタント田中正之氏(51)=広島市佐伯区=が26日、無所属で立候補することを表明した。同市長選の立候補表明は5人目。

 市役所で記者会見した田中氏は「市民目線で経済優先のまちづくりをしたい」と述べた。2020年夏季五輪の招致検討は凍結し、広島県営広島西飛行場の市営化には反対の方針だ。

 田中氏は、05年に建築コンサルタント会社を設立し、代表を務めている。07年の広島市議選に佐伯区から立候補し落選した。

 市長選にはこれまでに、執筆家荒木実氏(67)、元市議大原邦夫氏(61)、市民団体代表呉羽山人氏(60)、市議桑田恭子氏(49)の新人4人が、いずれも無所属での立候補を表明している。



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