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自民「相乗り」探る 松井氏擁立で最終調整 民主・連合の出方焦点 '11/2/2

 4月10日投開票の広島市長選で、自民党広島県連が、厚生労働省の官僚松井一実氏(58)=広島市東区出身=を擁立する方向で最終調整に入ったのを機に、選挙戦に向けた動きが加速している。自民党内には、民主党や同党の最大の支援団体である連合広島との実質的な「相乗り」を模索する動きも表面化し始めた。選挙戦の構図を方向付けるだけに、合意に至るかどうかが焦点になってきた。(広島市長選取材班)

 松井氏の擁立方針を受け、自民党系の中堅、若手市議15人が31日、議会内で非公開の会合を開いた。

 「うんと言わざるを得ない状況だ。その辺はよう頭に入れてください」。候補者選びを党県連の岸田文雄会長(衆院広島1区)に一任した経緯を踏まえ、市議の一人がそう強調した。過去3度の市長選で自民党は事実上の分裂選挙となり、秋葉忠利市長に敗れた「失態」を繰り返すまいとの思いがにじんだ。

 会合では、松井氏が事務局長を務める中央労働委員会の名簿が配られた。そこには労使の幹部が名を連ねる。終了後、ある市議は「この人なら連合や民主党も乗りやすいはず。いかに自民党の色を出さないかだ」と話した。

 国会で激しく対立する与野党第1党が広島市長選で連携することはあるのか―。実質的な「相乗り」の可能性が浮上しているのは、両党の候補擁立方針にある。

 ▽枠組み固執せず

 自民党県連は、党の枠組みにこだわらず、幅広い勢力での支援態勢づくりを目指す。民主党県連は、他党推薦の候補者は推薦しないとする一方、擁立した候補者が党の公認、推薦を得なくてもよいとの方針を示す。両党とも「地域の結束」や「政策の迅速な実行」を理由に挙げる。

 松井氏擁立について、民主党県連の三谷光男代表(衆院広島5区)は「自民党がカードを出してきたから乗るか乗らないかとの話には答えられない。今は候補者を探す努力をしている」と従来の立場を崩さない。

 ただ、ある連合広島の幹部は「自民党も単独で選挙をやろうというのではないだろう。松井氏が平和問題をどう考えているかも含め、まずは様子見だ」と含みを持たせる。

 ▽「幅広い支援を」

 松井氏は、中国新聞の取材に対し「今週中に(立候補するかどうか)判断したい」とした上で、「国会みたいに自民や公明、民主が対立して仕事が滞るのは大変。選挙のときから幅広い支援を得られる状況ができればと(自民党側に)伝えた」と語った。

 広島市長選にはこれまでに、元市議大原邦夫氏(61)、市民団体代表呉羽山人氏(60)、市議桑田恭子氏(49)、建築コンサルタント田中正之氏(51)の新人4人がいずれも無所属での立候補を表明。3期目の秋葉市長は今期限りで退任する意向を示している。



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