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民・自 擁立へ最終局面 「幅広い支持」探る '11/2/10

 4月10日投開票の広島市長選で、自民党広島県連は8日、広島市中区で役員会を開き、厚生労働省官僚の松井一実氏(58)に立候補を要請することを決めた。一方、民主党県連内には、市民グループが立候補を要請した豊田麻子副市長(44)の待望論が高まっている。与野党第1党の候補者選びは最終局面を迎えている。(広島市長選取材班)

 自民党県連は、幹事会と選挙対策委員会、役員会を立て続けに開催。松井氏の擁立方針を全会一致で確認した。終了後、岸田文雄会長(衆院広島1区)は「まずは自民党の中を固め、一致結束する態勢を確実にする」と強調した。9日に松井氏に正式に立候補を要請する一方で、推薦するかどうかの判断は先送りした。

 「本人も幅広く支援を得たいと考えていると思う」と岸田氏。党の枠組みにこだわらない支援態勢づくりを目指すという。

 岸田氏の言う幅広い支援態勢の念頭には、民主党県連の最大の支援団体である連合広島がある。「地域の結束」や「政策の迅速な実行」を合意点に、連合広島が加われば実質的な「相乗り」となり、強固な支援態勢を組めるとの狙いがある。

 ただ、自民党県連は、過去3度の市長選で分裂選挙となった反省から、党内結束を優先した擁立作業を急ぐ。「松井氏は自民党色が付きすぎた」。複数の連合広島幹部から敬遠する声が漏れ始めている。

 連合広島と共同歩調を取る民主党県連。三谷光男代表(衆院広島5区)が水面下で立候補を打診していた豊田氏に7日、女性団体のメンバーを中心とする市民グループが立候補を要請した。豊田氏は「真摯(しんし)に検討したい」と答えた。

 三谷氏は「声が出るのは幅広い支持の一つ。そういう動きが出るのはいい」と歓迎する。党県連内には「最高の候補になる」との期待感が出ている。

 「豊田氏が立候補の意志を固めるのか、動向を見極めないといけない。それによって対応は決まる」と県連幹部は明かす。連合広島の伊丹幸男会長は「民主党県連と連携し、候補者探しの推移を見守っている」と話している。

 市長選にはこれまで、元市議大原邦夫氏(61)、市民団体代表呉羽山人氏(60)、市議桑田恭子氏(49)、建築コンサルタント田中正之氏(51)の新人4人が、いずれも無所属での立候補を表明している。



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