金正哲氏がソウル公演に? クラプトンが懸念(上)

シンガポール公演では警護員・取材陣がもめて会場のムード台無しに

 15日午前、ソウル市内にある芸能プロダクション「ナイン・エンターテインメント」のキム・ヒョンイル社長の携帯電話が鳴った。キム社長は、20日夜にソウル・オリンピック体操競技場で行われる英国の人気ギタリスト、エリック・クラプトン韓国公演の準備で多忙を極めていた。電話の主はクラプトンのマネージャーだった。

 「こちらの準備は順調ですが、ご用件は?」(キム社長)

 「ちょっと確認したいことがあって。北朝鮮の人々が韓国に自由に来ることはできるんでしょうか」(クラプトンのマネージャー)

 「それはできません。なぜ突然そんなことを…」

 「実は、昨日(14日)夜、クラプトンがシンガポールでコンサートを行ったのですが(北朝鮮の金正日〈キム・ジョンイル〉総書記の次男)金正哲(キム・ジョンチョル)氏が来ていました。それで非常に落ち着かない雰囲気だったんです。場内整理もうまくいきませんでした。各メディアがコンサート中に正哲氏を取材したため、観客にも迷惑がかかりましたし。正哲氏に同行する人だけでも20人以上いました。観客がコンサートを気軽に楽しめるようにしてくれればよかったのに…。だから、北朝鮮の人(正哲氏)がソウル公演にも来る可能性があるのか気になって、尋ねた次第です」

 「そんなことがあったんですか(正哲氏がシンガポールのコンサート会場に現れた事実は、15日夜に韓国に伝わった)。正哲氏が韓国に来るのは困難だと思います。私の考えでは、正哲氏は(18日のクラプトンの)香港公演を見に行くんじゃないかと思います。(正哲氏が)マカオに滞在中と聞いていますから」

 「とりあえず、分かりました」

イラスト=金賢智(キム・ヒョンジ)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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