菅再改造内閣:仙谷氏続投に失敗 “菅流”貫けず

2011年1月15日 2時30分

 24日召集の通常国会へ向け「最強の態勢」を目指した菅直人首相。その核となるはずだった「仙谷由人官房長官続投」を断念したのは内閣改造の3日前だった。仙谷氏は野党の交代要求をはねつけて11年度予算案審議の主導権を握ろうとしたが、首相は揺れ続け、最後は野党の「審議拒否」圧力に屈し、貫けずに終わった。

 「参院の問責決議で辞めていたらキリがない。仙谷君が参院議長に『以後、態度を改めます』と謝罪するぐらいでいいんだ」。1月6日、首相官邸に呼ばれた渡部恒三民主党最高顧問は首相に仙谷氏の続投論を説いた。首相も続投を前提に(1)税と社会保障の一体改革と「平成の開国」推進(2)野党との連携に道を開く国対強化(3)「小沢切り」を進める党執行部態勢--を主眼とする内閣改造・党役員人事を練っていた。

 が、「予算審議が暗礁に乗り上げないか」と不安も漏らす。渡部氏は首相に「7対3で野党の言うことを聞くのが与党の国対。公明党対策をしっかりやった方がいい」と助言し、仙谷氏も首相の不安を晴らそうと動いた。

 仙谷氏が描いたシナリオは、自身の続投と「渡部国対委員長」のセット論だった。しかし、首相と仙谷氏が描いた「続投」構想を打ち砕いたのは、10日に首相が感触を探った西岡武夫参院議長だった。西岡氏は「院としてノーを言った」と参院本会議を開かない構えまでみせ、首相は同日夜、党幹部との電話で態度を変化。「野党が一つも反論できないほどの態勢で通常国会に臨みたい」。これを機に仙谷氏交代へと傾いた。

 首相が岡田克也幹事長を官邸に呼び、交代方針を伝えたのは11日昼。通常国会の24日召集を指示し、党大会翌日の14日に内閣改造を行う日程が固まった。岡田氏は21日召集を念頭に11日を決断リミットと考えていた。首相は仙谷氏に党代表代行と国対委員長を兼務させ国対強化を図る方向へ転換。「渡部国対委員長」は消えた。

 仙谷氏をあえて野党との交渉窓口となる国対委員長に据える「強気の人事」に野党は難色を示す。仙谷氏のもとには13日、公明党から「国対の表舞台ではなく裏で党内をグリップする方がいい」とけん制するメッセージが伝わり、仙谷氏は首相に固辞を伝えた。

 人事の設計は大きく狂い、野党側は「反論できない」どころか、衆院解散・総選挙に追い込もうと手ぐすねを引く。小泉純一郎元首相は14日、自民党の谷垣禎一総裁に発破をかけた。「攻め手はたくさんある。野党としてガンガン攻めろ」【野口武則、小山由宇】

top

PR情報

スポンサーサイト検索

アーカイブ一覧

 

おすすめ情報

注目ブランド