2011年1月14日 20時33分 更新:1月14日 23時17分
要である官房長官が交代して14日スタートした菅再改造内閣。統一地方選を控えた民主党の立候補予定者や有権者の受け止めを聞いた。
京都市議選で再選を目指す中野洋一市議(41)は「(脱小沢路線の継続で)政治と金の問題に決着をつけ、国民生活の立て直しに全力を注ぐ覚悟を示した」と好意的だ。
「影の総理」とも言われた仙谷由人氏が閣外に去った点について、大阪府議選に立候補予定の新人、西哲史・堺市議(33)は「改造後は良くも悪くも菅さんが何をしているか見えやすく、伝わりやすくなる。菅さんが積極的にメッセージを発信し、仕事ぶりが伝われば内閣や党の評価は上がると信じている」と期待を込めた。
神奈川県議選に出馬する新人の中谷一馬氏(27)は「与謝野馨さんや江田五月さんら仕事ができる人が入閣し、実務的には機能する内閣だと思う」と評価しながらも、「それが世論とリンクし、支持率がV字回復するかどうか楽観はできない」と話した。
一方、福岡県議選に出馬する現職の吉村敏男氏(62)は「反小沢だけの人選で挙党一致とはほど遠い改造内閣だ。全国幹事長会議でも噴出した地方の怒りに応えていない」とあきらめ顔。
統一地方選への影響について、三重県議選に出馬する予定の現職、森野真治氏(40)は「(内閣支持率が)ここまで落ちたら、党に対する強い逆風が『中風』になるくらいかな」と苦笑いし、改造が自身の選挙にそれほど好影響をもたらさないとの見方を示した。
北海道議選に立候補する現職の三津丈夫氏(64)も「菅さん中心の仲良し内閣とみられても仕方がない。枝野幸男氏はねじれ国会を作った責任があり、どう党をまとめてコントロールしていくのか。(統一地方選は)率直にしんどい」と選挙の厳しさに言及した。
有権者からは冷めた意見が多かった。千葉市中央区の無職、石田信夫さん(81)は「仙谷氏と馬淵(澄夫)氏を外したのは他党に許してもらうためとしか映らない」と否定的。岐阜市の派遣労働者、西尾和実さん(49)も「変えようとする姿は見えるが、簡単には変わらないだろう」と期待感は薄い。
堺市西区の無職、竹中ヤエさん(83)は「高齢者の声は無視され続けている。若いころ、どれだけ国のために犠牲を払い、尽くしたか忘れないでほしい」と訴えた。
中には解散を求める意見も。熊本市の会社員、村上勲さん(52)は「新入閣が4人にとどまったのは、民主党内の人材不足をまさに象徴している。菅さんは小手先に走らず、総選挙で国民の声にしっかりと耳を傾けるべきだ」と語った。
また、東京都渋谷区の会社員、東由香さん(43)は「改造しても小沢さん問題など内輪もめが続けば国を動かす力は出ない」と挙党体制を求めた。
消費者担当相は今回の改造で政権交代後4人目。行政刷新担当相と兼務の蓮舫氏は、4月の東京都知事選出馬も取りざたされ、消費者団体幹部は「消費者問題を軽視しているとしか思えない。トップがこんな短期間に代わっては、まともな政策は無理」と憤る。
支える官僚もうんざり顔だ。新しい大臣が就任する度、担当分野の重要課題や進展状況を一から説明してきたからだ。ある幹部は「連日説明して全体像を理解してもらうだけで1カ月はかかる。もし知事選に出るとしたら、春にはまたやり直しになる」とぼやいた。
拉致問題担当相も次々交代。今回就任した中野寛成国家公安委員長も4人目だ。日朝交渉が突破口を見いだせない中、「今度こそ腰を落ち着けて取り組んで」と被害者家族は期待と不安を募らせる。
横田めぐみさん(行方不明時13歳)の父滋さん(78)は、担当相が国家公安委員長との兼務である点を評価する。「拉致問題は警察情報がすべて。これで特定失踪者の捜査も含め、進展するのではないか」と期待する。
しかし、拉致被害者家族会の飯塚繁雄代表(72)は「担当相が目まぐるしくコロコロ代わり、結局何もしないまま引き継がれる」と表情を曇らせ、増元照明事務局長(55)も「大臣ポストはまるでたらい回しではないか」といらだちを見せた。
中野氏はこの日の会見で「たびたび担当者が代わることについては申し訳ない」と謝罪した。【山田泰蔵、合田月美、西村隆】