2011年1月14日 10時33分 更新:1月14日 11時5分
○日本2-1シリア●(13日 1次リーグ・B組)
判定をめぐる混乱と1人少ない劣勢から勝ち越した日本。勝利の瞬間、右手の拳を力強く握ったザッケローニ監督は「選手は良くやってくれた」と賛辞を惜しまなかった。
1点リードで迎えた後半25分、長谷部のバックパスを川島が辛くもクリアしたところにシリアの選手と今野が駆け寄る。そこから日本のゴール側へボールが出た瞬間、シリア選手のパスと判断した副審はオフサイドの旗を上げた。だが、主審はそれを取り消す。直後のプレーでシリアのFWと交錯した川島には退場を命じ、シリアにPKを与えた。
シリア選手のパスなら明らかなオフサイド。今野がけっていれば主審は正しいが「ボールに触っていない」と今野。ザッケローニ監督は「主審に『日本のバックパスだ』と言われた。それはないのでは」と首をかしげ、川島は「納得できるものではない」と怒りを込めた。
PKは決められ、シリアへの歓声は増すばかり。今野が「本当に心が折れそうになった」と言うほど追い詰められたが、そこで踏ん張った。FW前田に代えてGK西川を投入したことにより前線の駒が1枚減った分、シンプルな速攻を仕掛け、途中出場の岡崎が再三、相手DFの裏に飛び出してPKを奪い返した。「正直、僕らのPKもPKじゃない」(長谷部)、「ほぼ(PKは)取らないと思う」(岡崎)と、再びレフェリングに首をかしげる場面ではあったが、本田圭が冷静に中央に射抜いて勝ち越した。
元を返せば長谷部のバックパスを長友が中途半端に見送り、川島のクリアも小さく、「(許した)PKは、その前に原因がある」(遠藤)。だが松井は「10人で勝ち越せたことで何か得るものがあると思う」と言う。一筋縄ではいかなかった分、そこで得た結果は自信に変わるはずだ。【江連能弘】