2010年12月21日 21時44分
企業の内部関係者によるインサイダー取引防止システムについて、運営する日本証券業協会と、運用委託先の東京証券取引所との対立が深まっている。参加企業が少なく、実効性を欠くとして、日証協は12年6月までに上場企業に役員らの個人情報登録を義務付ける方向で検討するよう、東証に要請。登録社数の増加が見込めない場合、システムの廃止も示唆した。これに対し、東証の斉藤惇社長は21日の会見で個人情報保護法との関係で、「参加は強制できない。(日証協は)むちゃくちゃだ」と批判した。
インサイダー取引事件が相次いだのを受け、昨年5月に導入された同システムには、上場企業の役員の氏名や生年月日、住所などの個人情報が登録されている。日証協会員の各証券会社が顧客の口座開設時などに照会し、不正取引を防ぐ仕組みだ。ただ、登録は任意で、11月末時点で1777社と上場企業の5割弱にとどまる。
日証協は「実効性がなく、年数億円の費用負担に見合わない」と不満を募らせ、東証に文書で「義務化」を要請。一方、斉藤社長は「導入時に日証協と義務化しないことで合意した」と反論している。【田所柳子】