スポーツ【主張】大相撲改革答申 組織を変える覚悟みせよ2011.2.18 03:14

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【主張】
大相撲改革答申 組織を変える覚悟みせよ

2011.2.18 03:14

 これくらいの改革すら難しいなら、大相撲の再生など夢のまた夢である。「ガバナンス(統治)の整備に関する独立委員会」から日本相撲協会に出された最終答申に対する率直な印象だ。

 八百長問題で揺れる相撲協会だが、公益財団法人への移行を目指している。公益を目的とした事業が非課税となる特典があるためだ。独立委員会の答申は、このための改革案である。しかし公益財団法人の認可には、「競技の公正性」も求められている。

 答申は肝心の八百長問題に言及さえしておらず、物足りない面すらある。「八百長相撲は存在しない」との前提が崩れた以上、協会は過去にも八百長があった可能性を認め、説得力のある再発防止策を打ち出すことなしに、公益法人移行はあり得ないだろう。

 答申では、協会理事の約半数を法曹界や学識・スポーツ経験者などの外部から登用することや、高額で売買されている年寄名跡(親方株)について金銭の授受を廃止するよう求めた。

 部屋の師匠と理事の兼務は認めず、部屋の数を現在の50から30程度に減らし、十両以上の力士は他のプロスポーツを参考にして協会と明確な契約を締結することなども提案している。

 親方衆には厳しい内容だろう。しかし、従来の既得権益を守ることばかりに汲々(きゅうきゅう)としているなら、協会は公益法人への移行を逃し、国技館も「国技」の看板も失うことになってしまう。

 相撲協会の放駒理事長は、答申について、「今は大変な(八百長)問題を抱えている。これを解決してから公益法人の認定に向けて作業を進めていくことになる」と語った。

 これでは改革の先送りとしか聞こえない。猶予はないはずだ。逆風の吹き荒れる今こそ、組織を変える好機だ。答申内容を上回る厳しい改革策を自らの覚悟で示さなくてはならない。

 かつて横綱白鵬は、本紙のインタビューに「相撲が終わるとき、この国も終わるという強い思いがあります」と答えた。角界は総力をあげ、同じような覚悟をもって改革にあたるときだ。

 全国にはまだ、場所の再開を待ちわびる熱心なファンが数多くいる。伝統の国技がこのまま消滅する事態は見たくない。なんとしても再生してもらいたい。

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