政権与党としての統治能力に強い疑問を抱かせる事態である。民主党の小沢一郎元代表に近い若手衆院議員16人が党執行部に反旗を翻し、衆院事務局に新会派の結成届を提出した。民主党は会派の離脱を認めない方向だが、菅直人首相の政権基盤への打撃は避けられない。
16人はすべて比例代表選出で、小沢系の衆院1回生でつくる「北辰会」のメンバーが中心だ。17日に新グループ「民主党政権交代に責任を持つ会」を旗揚げした。
会長に就任した渡辺浩一郎氏は記者会見で、予算関連法案の採決で造反する可能性に触れた。宣言文では消費税問題などに触れ「菅政権はマニフェスト(政権公約)を捨てた」と批判した。強制起訴された小沢元代表への党員資格停止処分に抗議する狙いもあるとみられている。
岡田克也幹事長は「理解に苦しむ行動だ。規約上、会派離脱はできない」と強調した。だが16人が予算関連法案などの採決で賛成しなければ、社民党の協力を取り付けたとしても衆院の再可決に必要な3分の2の勢力には届かない。与党の国会戦略は根本から見直しを迫られる。
一方、民主党会派を離脱するものの、離党は考えないという16人の主張は極めてわかりにくい。民主党の看板で当選しながら国会で共同歩調を取れないというのなら、党の了承を得て無所属に転じるか、議員辞職するのが筋である。
民主党は菅政権の発足後、主導権争いに明け暮れている。昨年夏の参院選で大敗すると、引責辞任したばかりの小沢元代表や鳩山由紀夫前首相が反執行部の動きを活発化した。
小沢元代表は首相が促す政治資金問題での国会招致を拒否し続け、強制起訴後の離党要請も無視した。多くの有権者が「どちらが党代表で、どちらが一兵卒か分からない」と疑問を感じているのに、ここでは社会の常識は通じないようだ。
民主党が「国民の生活が第一」という看板を下ろさないのであれば、政策実現より党内政局を優先するような対応は許されない。
首相ら執行部は国会での多数派工作の一環として、社民党との連携に重点をおいている。しかし税制や安全保障などの基本的な立場が異なる政党にすり寄って、重要政策をゆがめるのでは本末転倒である。
民主党は予算関連法案の修正や、社会保障と税の一体改革などの具体案を早急にまとめ、自民党などとの接点を探ることに全力を挙げるべきだ。地道な努力を続け、有権者に支持を訴える正攻法しか道はない。
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