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『バレットストーム』に関するFox Newsの報道にゲーム関連メディア嘲笑
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2011.02.10 |
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あいかわらずセンセーショナルな報道が大好きなFox News。先日は暴力描写の多い新作ゲームをとりあげて「性的暴力を助長する恐れがある」と伝えたが、あまりの根拠のなさにゲーム関連メディアの嘲笑を浴びている。
Fox Newsが今回やり玉にあげたのは、2月24日(木)に日本でも発売されるアクションシューティング『バレットストーム』。Epic Gamesがプロデュースし、Electronic Artsが販売・流通を手がけるこの新作は、バラエティに富んだ方法で敵を倒して経験値を稼ぐスキルショットシステムが特徴となっている。
スキルショットの名称は性的な内容のものが多く、それにより過激な暴力描写を茶化しているのだが、Fox Newsは暴力と性を結びつけるものとして問題視。そして、本作のレーティングは“M”(17歳以上対象)となっているにもかかわらず、9歳の子供がプレイするという前提で心理学者たちにコメントを求めた。「年少の子供が『バレットストーム』の過激な言葉遣いや暴力表現を体験すると、その悪影響は著しいものになる」「レイプ犯罪が増えている主な原因は、ゲームの性的場面をプレイしたことによるものだ」といった具合に。
だが、ゲームの性的内容が性的暴行に結びつくという証拠はどこにも示されていない。また、GamePoliticsはコメントに対する反論として、政府の発表したグラフを掲載したが、これによれば、レイプ犯罪は90年代以降、減少の一途をたどっている。
翌日には、EAも誤解を招くFox Newsの報道をただす必要があると感じたようだ。レイプ云々という無根拠な糾弾に直接言及はしていないが、ゲームの基本設定とレーティングについて述べたのち、次のように言っている。「私たちはあらゆる年代に向けてフィクションの娯楽作品をつくるアーティストの権利を支持します。対象となる層には、本作のようなアクションアドベンチャーを楽しむ成人も含まれます。映画『キル・ビル』や『シン・シティ』と同じく、本作はクリエイティブな成人向けエンターテインメントなのです」
筆者がこの騒ぎを見て真っ先に思い出したのは、3年前、SF RPG『マス エフェクト』を同局のトーク番組がポルノ扱いした件。“識者”を立てて恐怖をやたらにあおりたてる手法は、あれからちっとも変わっていない。そろそろいい加減にこの姿勢を改めてほしいものだ。
(中島理彦)
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