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西武渋谷店、苦情だけを重視 後味悪いサブカル展の中止

2011年2月17日15時2分

写真:西武渋谷店の「SHIBU Culture」展の展示作品の一つ、松山賢「盛りガール(G.M.)」(2011年)拡大西武渋谷店の「SHIBU Culture」展の展示作品の一つ、松山賢「盛りガール(G.M.)」(2011年)

 後味の悪い中止騒動だった。東京・渋谷にある百貨店西武渋谷店が2日、「SHIBU Culture(シブ・カルチャー)〜デパートdeサブカル」展を会期途中で中止した。25人の作品約100点が並ぶ展覧会で、会期は1月25日から2月6日までのはずだった。

 西武渋谷店の広報担当者によると、苦情を告げる個人からの電子メールがきっかけだった。数件あり、どれも「百貨店にふさわしくない」という内容。具体的な作品名は無かったが、西武は展示を再検討して中止を決めた。担当者は「一件でも苦情があれば真剣に対応する。不快に感じるお客さんがいる以上、続けられないと判断した」と話す。

 そもそもどんな展覧会だったのか。西武は「詳細については説明できない」としている。出品作家に聞くと、展示は、絵画、フィギュア、写真などで、現代美術の分野で経験を積んだ作家から、駆け出しの作家まで様々だったという。「サブカル」より、アートといった方が実情に近い。

 例えば、現代美術家松山賢さん(42)は油彩画「盛りガール(G.M.)」(2011年)を出した。刺青模様の部分が盛り上がった作品だ。ほかにも女性の下半身が裸のフィギュアもあったという。だが、裸はアートではよくある題材だ。

 会場の美術画廊はB館8階にある。宝飾、時計といった高級品の売り場に隣接していて、確かにこの展示は似合わない雰囲気だった。

 近年、都心の百貨店は日展など団体展の作家だけでなく、現代美術家の展覧会も開いている。高島屋本社の金子浩一美術担当次長は「制限しすぎると作品の魅力が無くなるが、のれんのある百貨店として譲れないところもある。事前に作家に加えて百貨店内部でもとことんやり取りするしかない」と話す。

 後味が悪いのは、西武が苦情だけを重視したからに尽きる。一度開いた以上、展示を楽しみにしていた人もいたはずだ。西武は1980〜90年代、池袋の西武美術館(セゾン美術館)を拠点に、現代美術を積極的に紹介してきた。百貨店の再編でセブン&アイグループの一員になり、その自負を失ったとしたら、残念なことだ。(西田健作)

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