九州を含む西日本一帯で2月3日から1週間にわたって続いた大気がかすんだ状態について、九州大学応用力学研究所(福岡県春日市)は17日、中国から偏西風で流されてきた大気汚染物質が原因の可能性が高い、と発表した。
同研究所の竹村俊彦准教授(気象学)が春日市で観測したところ、3―9日ごろにかけ、大気中にただよう直径0・3マイクロ・メートル程度の微粒子の濃度が急増。大気1リットル中に約50万個を計測し、通常の約10倍の濃度になっていたという。
竹村准教授によると、微粒子は化学燃料の消費に伴って発生する硫酸塩やすすだった。微粒子による「越境大気汚染」は約10年前から確認されていたが、これまでは2―3日の発生周期が多く、1週間継続する事例は「経験がない」という。
微粒子は肺から血中に入り、呼吸器やアレルギーの疾患を引き起こすこともあるという。竹村准教授は「春にかけ、越境大気汚染は発生頻度が高くなる。空がかすんでいると感じた場合、できるだけ屋外の活動を控えてほしい」としている。
=2011/02/17 西日本新聞=