18日に公開された外交文書で、沖縄返還を巡って韓国政府が、沖縄のアメリカ軍の行動に制約がかかれば韓国やアジアの安全保障に影響を及ぼすとして、日本政府に対し、日韓両国の協議を行うよう求めていたことが明らかになりました。
1972年の沖縄返還では、日米両政府は沖縄にアメリカ軍基地を残したうえで、アメリカ軍の行動にあたっては事前協議を行うことなどで合意しました。これに関連して18日に公開された外交文書によりますと、韓国政府が1969年に「沖縄を巡る問題に強い懸念を持っており、アメリカ軍基地の現状に変更が生じれば韓国とアジアの自由主義陣営の国々の安全保障に間違いなく悪い影響を及ぼす」として、沖縄返還を巡って日韓両国の協議を行うよう求めていたことが明らかになりました。これに対し、日本政府は「韓国の安全は日本の安全と不可分の関係にある」として、一定の理解を示しながらも「沖縄の返還問題は日米両国間で話し合う」として断っています。当時の朝鮮半島情勢は、この前年に韓国の大統領府が北朝鮮の特殊部隊の襲撃を受けるなど、北朝鮮の軍事行動が相次いでいた時期で、今回、公開された文書では、韓国が沖縄返還に伴って、沖縄のアメリカ軍の行動に制約がかかることに強い危機感を表わしていたことが分かります。