ここから本文エリア 隠れかっぱの湯、撤去計画に熱い抗議→作業は延期 むつ2011年2月18日
むつ市大畑町の薬研渓谷の温泉跡にあり、地元のお年寄りや温泉マニアに人気の通称「隠れかっぱの湯」。ところが、管理者もいないため、風紀や衛生面で公衆浴場法に触れるとする県の求めに応じ、一帯の国有林を管理する下北森林管理署が17日から施設を撤去する計画だった。すると、直前になって市に抗議のメールが殺到、急きょ作業は延期された。 「隠れかっぱ」は県道のすぐ下の大畑川沿いにあり、ガードレールの間から降りられる。かつてはホテルの温泉施設だったが、廃業後に雪や増水で壊れ、今は二つの湯船が残るだけだ。 それでも透明な湯は源泉のかけ流し。夏は熱く、アブやマムシも姿を見せるが、川の景色を眺めながら入る野趣あふれる露天ぶろは隠れファンに人気となり、長年利用している地元の人も椅子や清掃用のブラシなどを備えていた。 評判を知って近年は三沢方面からも訪れたり、車中泊を続ける旅行者も利用したりする一方、シャンプーなどを持ち込む人もいて、排水が川へ流れ込むことや路上駐車が問題になってきていた。 そこで、県は管理者不在のうえ、道路や対岸の遊歩道からも見通せる実態を問題視して、昨年2月、森林管理署に利用中止を要請。同管理署はロープで立ち入りを禁じたが、その後も入浴する人が続いた。国定公園内でもあり、17日から1カ月の工期で、湯船周辺のコンクリートやタイルをはがし、自然の状態に戻す計画だった。 しかし、17日朝までの一晩にむつ市のホームページには解体に反対する計50件のメールが寄せられた。大半が匿名で東京、名古屋、広島など県外からで、「むつ市の宝」「混浴は伝統」などと、隠れかっぱの湯存続を求める内容だった。 温泉の直接の管理者ではない市は当惑したものの、急な事態に工事を一時見合わせるよう市長の判断で申し入れたという。 実は、「隠れかっぱ」の上流域には奥薬研温泉の元祖とされる「かっぱの湯」と市の指定管理施設としてレストハウスに併設の「夫婦(めおと)かっぱの湯」があり、旅行ガイドにも載っている。ただ、「かっぱの湯」は県道の橋から見えるため、やはり県の指導で現在は使用禁止にし、森林管理署から借り受けて管理している市は1千万円以上をかけて湯船を屋根で覆う工事中だ。 市大畑庁舎産業建設課の阿部等課長は「『隠れかっぱ』は駐車スペースがないなどの問題もある。(屋根や脱衣所を設けるなど)これ以上、手を加えて利用できるようにするのは基本的に難しい」としている。(石毛良明)
マイタウン青森
|
広告終わり [PR] 比べてお得! |