新入社員に求められる7つの「オヤジ耐性」
新入社員の定着のためには、接し方やマネジメント手法の前に、世代間の徹底した相互理解が大切だと主張する筆者。会社で遭遇するオヤジに、若手はどう対応するべきかをアドバイスします。
著者プロフィール
川口雅裕(かわぐち・まさひろ)
イニシアチブ・パートナーズ代表。京都大学教育学部卒業後、1988年にリクルートコスモス(現コスモスイニシア)入社。人事部門で組織人事・制度設計・労務管理・採用・教育研修などに携わったのち、経営企画室で広報(メディア対応・IR)および経営企画を担当。2003年より株式会社マングローブ取締役・関西支社長。2010年1月にイニシアチブ・パートナーズを設立。ブログ「関西の人事コンサルタントのブログ」
新入社員研修における新しいニーズとして、外国人留学生に対して日本の習慣や文化、日本人の振る舞いや感じ方を理解させるというものがあります。
これまでは日本人の新入社員に対して、名刺の渡し方や電話対応、身だしなみや接遇、席次や訪問時・来客時の応対といった「形」を教えることでこと足りていたわけですが、それ以前に日本人や日本について理解しておかないと、「形」だけを教えても、職場でも社外でも問題が起こってしまうことがあるようです。異文化間の相互理解というグローバル化の時代の大切な課題が、新人研修でも問われるようになったということです。
少し考えますと、異文化間の相互理解の必要性は外国人と日本人との間だけに存在するものではありません。特に、オヤジ世代と若手の間には相当のギャップがあり、その相互理解は非常に重要になってきているのではないでしょうか。
そんなプログラムは世の中にないと思いますが、若手が入った会社に定着し、成長していくための最初の関門は「オヤジ理解」であろうと感じます。理解するだけでなく、「オヤジ耐性」を身に付けなければなりません。
7つのオヤジ耐性
オヤジ耐性は、7つの要素(力)から成ります。
1つ目。止まらなくなっている話をジッと聞く力。どんなに冗長な内容でも、表情や姿勢に感情を表さず、うなづきやあいづちを交え、かつそれにストレスを感じないように聞く力です。
2つ目は、こちらのことを理解してくれなくても、気にしないようにする力。質問してくれなくても、こちらの話の腰を折られても、勝手な解釈をされても、そういうものだと不満を持たないようにする技です。
3つ目。新しいことや変化を子どもにも分かるように表現する力。前例や慣習の継続を望む姿勢を否定するのではなく、それも1つと認めた上で、極力分かりやすい単語を使って、かつ偉そうに聞こえないように新しいことを教えてあげる力です。
4つ目は、役職者は大変だと心から思う力。自分の仕事を「細かいこと」「事務作業」などとさげすまれても笑顔を絶やさず、書類のチェックやサイン、部下への気遣い、上位者への気配りや目配りは大変なのだと尊敬の眼差しを向けることです。
5つ目。苦手なことや短所、改善点などを指摘されたら快感を覚える力。長所や得意を見てほしいなどと思うことなく、傷口をグリグリされたり、欠点を大げさに言われたりしても、なるほどと反省しながら感謝を込めて前向きな言葉を吐く力です。
6つ目は、良いところを発見して、ほめる力。才能やスキルにも、影響力や推進力にも見るべきところがないとしても、人には必ず優れたところがあるわけですし、上位者にいじめられていたら余計にそれを見つけてほめる行為がオヤジを救うというわけです。
最後の7つ目は、飲みに付き合ってあげる力。「たまには飲みながら話をしたいなあ」「今日は飲んでストレス発散したいなあ」「でも部下を誘って断られたらイヤだなあ」という上司に、一声かけるだけという簡単な技です。
新入社員の定着や育成にオヤジ世代が悩んでいます。しかし、割と一方的な世代論をベースにしたものが多く、それゆえに相互理解へのあきらめが感じられるのも事実。世代が違えば育ってきた環境も違うので、相互理解は簡単ではありませんが、それをすっ飛ばして方法を学ぶのが効果的だとは思えません。
オヤジ世代も若者世代も、互いに耐性を磨いて何とか相互理解を図ることが定着と育成のスタートです。(川口雅裕)
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